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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年7月16日 No.3461 「Society 5.0に向けて求められる初等中等教育改革 第一次提言」公表

経団連は7月14日、「Society 5.0に向けて求められる初等中等教育改革 第一次提言」を公表した。

中央教育審議会では、2019年4月の文部科学大臣からの諮問を受けて、Society 5.0で活躍できる人材育成の観点から、義務教育および高校教育のあり方について検討している。こうしたなか、新型コロナウイルスの感染拡大により、日本の教育分野におけるデジタル化が諸外国と比べて周回遅れである現状が浮き彫りとなった。そこで同提言では、Society 5.0で求められる能力と教育の方向性を示したうえで、withコロナ時代の初等中等教育に求められる取り組みのうち短期的に必要なもの、大学入試改革、さらには企業に求められる取り組みに対する考え方を示している。このうち、短期的に必要な取り組みとして、主に以下の点を掲げている。

■ 全国でリモート教育が実施可能な環境の緊急整備

政府は、昨年度の補正予算で児童生徒1人1台の端末整備等を盛り込んだ「GIGAスクール構想」を措置したが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校中に双方向のオンライン指導を実施した公立学校はわずかであった。

多くの学校が臨時休校中にリモート教育を実施できなかった理由としては、「GIGAスクール構想」が動き出したばかりで教育現場におけるICT環境の自治体・学校間格差が大きかったこと、一部の児童生徒の家庭で通信環境が整備されていないこと、ICT機材の操作やICT等を活用した授業に不慣れな教員が多いことなどが挙げられる。

政府は、「GIGAスクール構想」の前倒し実施やICT環境を準備できない家庭への端末・LTE通信機器の優先配備等を進めているが、全国でリモート教育が実施可能な環境整備をさらに迅速に進めるためには、自宅に端末を持ち帰って家庭学習に使用するための取り扱い方針や情報セキュリティに関する具体的なガイドラインの提示等の対応が必要である。

■ 改訂学習指導要領が目指す教育の実現

新しい時代に必要な資質・能力の育成を重視する改訂学習指導要領は、Society 5.0で求められる教育と方向性は同じである。しかし、実際の教育現場では、所定の教育課程を一定期間履修すれば目標の成果は問わないとする「履修主義」の考えが採られているため、基盤となる学力が身につかないまま小中学校を卒業する子どもたちが一定割合存在する。今後は、目標に関して一定の成果を上げることを求める「修得主義」をより重視した教育の推進が重要である。

また、オンライン学習が進展しても、多様な考えを持つ他者との協働による主体的で深い学びの実現には「学校」という場で学ぶことが不可欠であり、オンライン学習でこそ効果的な学びと、学校という場でこそ効果的な学びとのハイブリッドな学習環境の構築が重要である。

■ ICTを活用した新しい教育様式に対応できる教員の養成

教員の役割がコーチやファシリテーターへと変化するなかで、教員養成課程を見直し、ICT活用指導法を必修化するなど新しい教育様式に対応できる教員を養成するとともに、教員が他の専門スタッフ等と連携・分担する体制整備等が必要である。

【SDGs本部】

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