経団連(中西宏明会長)は7月16日、東京・大手町の経団連会館で「夏季フォーラム2020」(議長=山内隆司副会長)を開催した。中西会長、古賀信行審議員会議長をはじめ、副会長、審議員会副議長ら40名が参加し、「新型コロナウイルスを克服し、新たな成長を実現する」を統一テーマに討議を行うとともに、提言「新型コロナウイルス感染症と両立する経済活動の再加速に向けて」と、議論の内容を踏まえた「経団連夏季フォーラム2020マニフェスト ―デジタル革新(DX)で日本経済社会の再生を加速する」を採択した。
冒頭、中西会長が「新型コロナウイルスの拡大が経済社会に大きなインパクトを与えているなか、新たな成長に向けて、Society 5.0 for SDGsを短期間かつ着実に社会実装していく必要がある。経済界が強いイニシアティブを発揮すべき。本フォーラムの成功を祈念する」とあいさつ。続いての第1セッションでは、地域医療機能推進機構(JCHO)理事長で、政府の新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会長を務める尾身茂氏から「我が国のCOVID-19対策」と題する講演を聴くとともに意見交換を行った(第1セッションにおける尾身氏の講演概要は次号掲載)。
セッション終了後には、ウィズコロナ時代における感染拡大防止と経済活動の両立に向けた提言「新型コロナウイルス感染症と両立する経済活動の再加速に向けて」を取りまとめ、尾身氏に手交した。
提言「新型コロナウイルス感染症と両立する経済活動の再加速に向けて」(抜粋)
- (1) 感染拡大防止に向けた体制整備
- ① 医療提供体制の整備
- ② 医療物資供給の確保
- ③ 検査体制の拡充
- ④ 国境を越えた人の往来への対応
- ⑤ 緊急事態における司令塔機能強化
- ⑥ ワクチン・治療薬の早期開発
- (2) サプライチェーンの強靭化とBCPの強化
- (3) 社会全体におけるデジタル化の推進
第2セッションでは、3つの分科会に分かれ討議を行った。第1分科会(議長=山西健一郎副会長)では「デジタルトランスフォーメーション、脱炭素社会」、第2分科会(議長=古賀信行審議員会議長)では「働き方改革と人材育成、地域経済の活性化」、第3分科会(議長=片野坂真哉副会長)では「自由で開かれた国際経済秩序の回復」をテーマに、集中的に議論を行った。
最後の第3セッションでは、分科会で討議した内容に関する各分科会議長からの報告に基づき、今後の経団連活動のあり方について参加者全員で議論し、ポストコロナ時代を展望した基本的戦略の方向性として、経団連が今後取り組む施策等を盛り込んだ「経団連夏季フォーラム2020マニフェスト」を採択した。
経団連夏季フォーラム2020 マニフェスト(抜粋)
-デジタル革新(DX)で日本経済社会の再生を加速する-
■本日、経団連夏季フォーラム2020において、我々は以下の通り、
ポストコロナ時代を展望し、基本的な戦略の方向性を共有した。
■経済界は、自らリーダーシップを発揮し、多様なステークホルダーとの連携
の下、Society 5.0の実現に向けてDXによる日本経済社会の再生を加速する。
- (1) DXを通じたSociety 5.0の実装
- (2) 脱炭素社会実現への挑戦
- (3) 働き方改革と人材育成
- (4) 自由で開かれた国際秩序の再構築
- (5) 地域経済の活性化
- (6) わが国の構造的課題に対する挑戦
【ソーシャル・コミュニケーション本部】