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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年8月6日 No.3464 感染症・災害等の複合的リスク拡大を踏まえた対応について聴く -社会基盤強化委員会企画部会

久保氏(右)と大知部会長

経団連は7月28日、社会基盤強化委員会企画部会(大知久一部会長)を開催した。

同部会は、新型コロナウイルス感染症や昨今の自然災害の激甚化・頻繁化を受けて、社会に想定外の事態(非常事態)が発生した際の早期収束と経済活動全体の維持・回復が図られる強靱な社会基盤を築く方策について検討するもの。第1回の今回は、来賓に久保英也日本リスク学会前会長(現ワールドマスターズゲームズ2021関西組織委員会Chief Strategy Officer)を招き、感染症・災害等の複合的リスク拡大を踏まえた対応について説明を聴いた。説明の概要は次のとおり。

リスクには、(1)「自然」(2)事故による環境汚染など「技術」(3)サイバー攻撃やテロなど「人的行為」――の3つを起因としたものがある。そして、1つの重大リスクの顕在化が、時間的、空間的な拡がりと連鎖性を伴い、直接的、間接的に国家の成長や国民生活へ深刻な事態を与える可能性が「複合リスク」である。複合リスクの特色として、特定のリスクへの対応が別のリスクを増大させるトレードオフの関係があり、新型コロナウイルス感染症に伴い目下課題となっている感染者の抑制と経済的危機の回避の両立は、まさにその一例といえる。

リスクの評価、判定から管理までの一連の流れであるリスクガバナンスのなかでもとりわけ重要となるのが、第一のステップであるリスクの事前評価における「フレーミング」である。これは、直面するリスクに対し対処すべき課題とそのアプローチを明確化することである。そのうえで対策のオプションを検討し、選択・実行することになるが、これらの全局面で、国民あるいは企業の従業員との間でリスクに関するコミュニケーションが欠如すると、このサイクルは動かせない。

複合リスクへの対応で重要となるのが、最終目標の設定とその時間軸である。目標のトレードオフが発生するという特性を踏まえれば、時間の経過にあわせて適切な妥協点を見つけ、コントロールすることが最終目標といえる。企業のBCP整備などの事前準備やリスクファイナンスを活用することで、妥協点に向けたコントロールを有効に行うことができると考えられる。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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