経団連の中西宏明会長は9月9日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
新内閣への期待について中西会長は、「取り組むべき課題は明確。新型コロナウイルス感染症対策と経済再生に加え、ウイズコロナ、ポストコロナを見据えた新たな経済社会の構築に注力してほしい」と述べるとともに、財政健全化や行政のデジタル化の推進も重要課題になると指摘した。
安倍政権の評価に関する問いには、約8年にわたる長期安定政権のなかで内政外交の両面で大きな成果を挙げたとし、「とくに地球儀を俯瞰する外交を精力的に展開し、日本の国際的なプレゼンスを各段に向上させた」と高く評価した。
来年の春季労使交渉の見通しについては、日本経済が構造改革を果たせず、新しい産業の振興にも結び付けられてこなかったなかで、雇用維持のために長年にわたり賃金を抑制してきたという反省に立ち、経済界自らの判断で賃金の引上げに前向きに取り組んできたとこれまでの経緯を説明。そのうえで、コロナ禍で雇用維持へのプレッシャーが高まっていることから、来年の春季労使交渉においては従来型の相場観を持った賃金水準の議論は難しいのではないかとの見方を示した。
さらに、来年の東京オリンピック・パラリンピックについては、「何としても開催してほしいというのが正直な気持ち」としたうえで、世界各国で新型コロナの感染拡大が止まっていないことから、開催方法について知恵を絞り、万全の準備を整える必要があるとの考えを述べた。
【広報本部】