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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年9月17日 No.3468 「令和3年度税制改正に関する提言」を公表 -ポストコロナ時代を見据えた研究開発税制の延長・拡充等の税制措置を要望

経団連(中西宏明会長)は9月15日、「令和3年度税制改正に関する提言」を公表した。同提言では、基本的な考え方として、わが国経済は、新型コロナウイルス感染症による大きな下押し圧力からの正常化とポストコロナ時代の双方を見据えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に加速し、強靱な経済社会を構築すべきことを掲げている。

1.ポストコロナ時代を見据えた税制措置の整備

重要性を増すデジタル関連等の技術革新を通じた国際競争力の維持・向上と持続的な成長の確保の観点から、研究開発税制の延長・拡充を図るべきである。具体的には、総額型について控除上限を法人税額の25%から30%への引き上げ、クラウドサービス等を念頭に自社利用ソフトウエアにかかる試験研究費の研究開発税制の対象化等を講じるべきである。

また、設備投資・DX減税として、幅広い業種によるDXに資するソフトウエア(SaaS〈Software as a Service=クラウドを介して提供するソフトウエア〉等の利用を含む)および機械、装置等を含めた投資を税制上強力に後押しすべきである。

さらに、税務手続きのデジタル化・簡素化を強力に推進すべきである。押印原則をゼロベースで見直したうえで、各種税務手続きのデジタル化の推進、地方税共通納税システムの対象税目への固定資産税等の早期追加、電子帳簿保存法の抜本的な見直し等が不可欠である。

2.今次感染症による企業業績の落ち込みに対処する税制措置の整備等

欠損金の繰越控除制度について、2019年度および20年度発生の欠損金を念頭に、業績動向を引き続き検証しつつ、少なくとも向こう数年間において、控除上限を撤廃または大幅に緩和すべきである。あわせて、控除期間を10年超とすることも選択肢の1つである。

また、来年度に評価替えを迎える土地にかかる固定資産税の負担軽減として、一定期間の課税標準の据置と負担調整措置の延長が必要不可欠である。

さらに、自動車関係諸税について、取得時に要する税負担の大幅な軽減と期限切れを迎えるエコカー減税の延長等が求められる。

3.経済の電子化に伴う課税に関する国際的議論への対応

OECD・G20のもとにある包摂的枠組みでは、国家間の利益配分ルールの見直し(第1の柱)、軽課税国への利益移転に対抗する措置(第2の柱)について、骨格となる「青写真」を今年10月に提示することを目指して議論が行われている。

わが国経済界は、第1の柱について、適用対象を絞り込み、市場国への追加的な利益配分は控えめな水準とすべきこと、申告・納付の負担が少ない簡素な制度とすること等を求める。第2の柱について、閾値の設定や計算の簡素化等、事務負担軽減に十分配慮すべきこと、能動的な所得は一定の簡素な算式により除外すべきこと等が不可欠である。

4.その他

地方税における電気・ガス供給業にかかる法人事業税収入割の見直しや、期限切れの租税特別措置の延長等を図るべきである。消費税について、転嫁対策特別措置法の期限切れに伴う所要の措置等を講じるとともに、環境・エネルギー税制について、イノベーションを通じた脱炭素社会の実現に資する税制措置の整備を要望している。さらに、金融・証券・保険税制について、教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置の延長等を掲げるほか、年金税制について、公平でわかりやすい企業年金制度の普及・拡大に資する見直しを求めている。

【経済基盤本部】

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