1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2020年9月17日 No.3468
  5. 提言「企業と投資家による建設的対話の促進に向けて」を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年9月17日 No.3468 提言「企業と投資家による建設的対話の促進に向けて」を公表 -真に実効ある対話に向けて企業・投資家・政府に求められる取り組みを提示

経団連は9月15日、提言「企業と投資家による建設的対話の促進に向けて」を公表した。

コロナ・ショックに直面し、世界中がより強靱で持続可能な経済社会を早期に構築する必要性を認識した。金融・資本市場においても、これまでの短期的な投資や株主中心の経営に対する反省から、企業の中長期的な価値向上を重視したESG投資(環境・社会・ガバナンス対応を踏まえた投資)や、株主に加え従業員や地域社会等、多様なステークホルダーを尊重する「ステークホルダー・キャピタリズム」の流れが加速しつつある。

目下、企業は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代に向けて、新しい日常を前提に、より長期の視点から経営戦略の立て直しに取り組んでいる。こうした動きを加速させ、持続可能な社会づくりを金融・資本市場面から支えるためには、企業と投資家が長期的目線で建設的な対話を行う、まさにエンゲージメントが重要となる。そのために企業、投資家、そして政府に求められる取り組みについて、提言を取りまとめた。

■ 企業と投資家による「対話」の進展状況

「対話」の現状を分析すると、企業と投資家双方の努力により着実に進展してきたことがわかる。日本IR協議会の調査によれば、約8割の上場企業がIR専任部署や専任者を設置するなど対話のための体制整備が進められてきたほか、機関投資家・投資助言会社でも、エンゲージメント活動の結果を議決権行使に反映させる動きがより明確にみられるようになった。また、企業と投資家双方でESG投資への関心の高まりがみられる。

■ 建設的対話の促進に求められる取り組み

企業と投資家の対話は着実に進展してきた一方、より一層実効あるものとすべく以下の5つの取り組みが求められる。

1つ目は、対話の出発点となる情報開示について、より一層の充実を図ることである。企業は形式にこだわりすぎず、重要度(マテリアリティ)と優先度(プライオリティ)を意識しながら自主的に自社の情報や考えを発信すべきである。

2つ目は、質の高い対話の好循環を目指す姿勢である。対話の内容を経営や議決権行使等、その後の行動に反映させる体制を整えるだけでなく、その結果を密にフィードバックし合うことで、次回の対話がより建設的なものにつながる。

3つ目は、議決権行使助言会社の適切な機能発揮である。今年新たにスチュワードシップ・コードに定められたとおり、助言会社は人的・組織的体制の整備や助言策定プロセスの透明化を進めつつ、時には自らが企業と積極的に意見交換することが求められる。

4つ目はデジタル技術の活用により、議案検討期間を拡大することや、遠方など面談に制約がある投資家とも効率的な対話を図ることである。

5つ目は、より長期の視点に基づく対話の促進である。その一環としてESGに関連する情報開示基準を国際的に整理・統合する動きに対し、わが国も積極的にリードしていくべきである。

今後、企業と投資家による建設的な対話が促進され、投資家によるSociety 5.0分野への投資と企業による価値創造の好循環が生まれることが期待される。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

「2020年9月17日 No.3468」一覧はこちら