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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年9月17日 No.3468 「LIBORの恒久的な公表停止に備えた対応」等について金融庁から聴く -金融・資本市場委員会資本市場部会

経団連は9月1日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会資本市場部会(松岡直美部会長)を開催し、金融庁の中島淳一総合政策局長から「LIBOR(London Interbank Offered Rate、ロンドン銀行間取引金利)の恒久的な公表停止に備えた対応」について説明を聴いた。あわせて、金融庁の豊永康史市場機能強化室長ならびに証券取引等監視委員会事務局の伊藤公祐総務課総括調整官から、「持株会加入対象の拡大等」について説明を聴いた。説明の概要は次のとおり。

■ LIBORの恒久的な公表停止に備えた対応(金融庁・中島局長)

2012年のLIBORの不正操作事案発覚を契機とした金利指標改革により、21年末以降、LIBORが恒久的に公表停止となる可能性が高まり、企業側の対応が急務となっている。わが国でも、LIBOR公表停止に備え、18年8月に日本銀行を事務局とする「日本円金利指標に関する検討委員会」(検討委員会)が設立され、後継金利指標への対応等が示された。

特に注意する必要があるのは、22年以降もLIBORを参照する契約であり、この場合、(1)移行(LIBOR公表停止前にLIBORから代替金利指標に変更する方法)と(2)フォールバック(LIBORの恒久的な公表停止後に参照する金利をあらかじめ合意しておく方法)のいずれかの方法が求められる。また、いずれも、契約当事者間でのあらかじめの合意が必要である。

代替金利指標は、検討委員会において「ターム物リスク・フリー・レート」が最も支持を集めた。LIBORとのスプレッド調整は、過去5年の差分の中央値を用いる考え方を推奨することを市中協議中である(20年9月末が意見提出期限)。

さらに、企業がLIBORを参照する債券を発行している場合には、代替金利指標に「移行」する、あるいは「フォールバック条項」を定めるために、原則として、会社法に基づき社債権者集会を開催する必要がある(債権者が50名未満の私募債の場合には、全社債権者から直接同意を取得するとの考えもある)。

LIBORの恒久的な公表停止が見込まれている21年末はすぐにやってくる。LIBORから代替金利指標への円滑な移行に協力をお願いしたい。

■ 持株会加入対象の拡大等

(金融庁・豊永室長)

発行会社およびその「子会社」の持株会を通じた株式の買い付けは、インサイダー取引規制の適用除外とされる。この「子会社」は、現状、形式基準(50%超の議決権を保有しているかで判定)により発行会社の子会社・孫会社・ひ孫会社に限定されている。今回の内閣府令の改正で、実質基準に改め、連結子会社全般まで拡大することとした。あわせて、インサイダー取引規制の対象外となる「知る前契約・計画」について、電磁的記録により作成し、証券会社へ提出することも可能とした。改正内閣府令は9月中には公表され、21年1月から施行される予定である。

(証券取引等監視委員会事務局・伊藤総括調整官)

持株会を通じた株式の買い付けについては、一定の計画に従い行われる等の要件を満たせば、インサイダー取引規制の適用除外となる。ただし、未公表の重要事実を知って持株会の拠出金を増額する場合等は適用除外とはならない可能性があり、引き続き、未公表の重要事実について適切な情報管理等を行うことが重要と考える。

なお、市場の公正性確保・投資者保護のため、不公正取引の疑いがあれば、必要に応じて証券取引等監視委員会が調査を行う。株式の発行会社には、参考人として調査に協力いただくことがあり、その場合には協力をお願いしたい。

【経済基盤本部】

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