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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月1日 No.3469 ワーケーションの推進を議論 -観光委員会企画部会

経団連は、観光における当面の課題として、産業としての持続可能性の確保に向けた新たな価値の創造を掲げ、その1つとしてワーケーションの推進について検討することとしている。そこで、8月28日、観光委員会企画部会(今泉典彦部会長)をオンラインで開催し、日本観光振興協会の久保田穣理事長ならびにワーケーション自治体協議会の中核を担う和歌山県の桐明祐治企画部企画政策局情報政策課課長から、ワーケーションをめぐる取り組み状況や課題認識などを聴くとともに懇談した。両氏の説明概要は次のとおり。

■ 「コロナ禍における観光」
日本観光振興協会・久保田理事長

観光業界が新型コロナで大きな打撃を受けるなか、今後の旅行は安全・安心が大前提になると認識している。そこで、新しい取り組みとして、旅の安全・安心を確保するための企業の取り組みを紹介するウェブサイトを開設したほか、旅行者が守るべきことをまとめた「新しい旅のエチケット」に関する動画を作成し、公共交通機関のデジタルサイネージ等で放映するなど、啓発活動を図っている。

新型コロナを契機にテレワークが普及したことで、「働きながら観光する」という考え方が生まれた。観光振興に向けては、ワーケーションが有効な手段だととらえている。長期で観光地に滞在し、休暇の合間にテレワークで仕事をするスタイルや、企業の研修等で観光地に行き、合間にアクティビティーを楽しむスタイルなど、さまざまなやり方がある。推進にあたっては、生産性向上といった企業側のメリットづくりのほか、労働法制、就業規則との整合性の確保、受け入れ側である地域におけるコンテンツづくりなどが課題となる。まずは企業と地域のマッチング推進によるモデルケースづくりを展開するとともに、並行して、実施にあたっての税制優遇などの政策要望の取りまとめ、企業における制度整備に取り組んでいく。

■ 「ワーケーション自治体協議会における取り組みの現状と課題」
和歌山県・桐明課長

和歌山県はワーケーションについて、「三方よし」の持続可能なモデルとなるように取り組んでいる。すなわち、企業にとっては「Innovation」、個人にとっては「Motivation」「Education」、地域にとっては「Collaboration」というメリットを生み出すことを念頭に進めている。

具体的に2つの類型に分類している。第1は個人型ワーケーションで、オフィス外での勤務が可能な場合に、生活圏内にとどまることなく社員が自由に地域で業務を行うものである。個人のライフスタイルに合わせた働きやすい環境整備の一助になると期待され、業務が滞らないような勤怠制度やコミュニケーションシステムが求められる。

第2は出張型ワーケーションで、企業が目的に応じて、地域に社員を派遣しながら事業を実施するものである。和歌山県が特に注力してきた分野であり、地域の課題を紹介し、企業とその解決に取り組むことで、イノベーションの創出や地方創生につなげることを目指している。

今後は、企業に応じたワーケーションの活用方法の検討と実証フィールドの設定等が必要となる。ワーケーションは関係人口の創出につながる手段であり、地域の活性化や新たなビジネスの創出に大きく寄与すると考えている。現在100を超える自治体が加盟する自治体協議会を活用して、企業と地域のマッチングを促進し、ワーケーションの普及に向けた取り組みを強化していきたい。

【産業政策本部】

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