経団連の雇用政策委員会人事・労務部会(小野澤康夫部会長)は9月1日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。同部会は、今年度から「ICTを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方(テレワーク)の推進」を検討テーマに掲げており、第1回となる同会合では、日本総合研究所の林浩二人事組織・ダイバーシティ戦略グループ部長から、「テレワーク時代の新しいパフォーマンス・マネジメント」について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ テレワークが変える新しい働き方
テレワークはこれまで、ワーク・ライフ・バランス促進のために活用されることが多かったが、コロナ禍により、感染拡大防止という緊急避難的な活用が急速に広がった。テレワークは働き方の一つのかたちとして普及するとともに、テレワークとの相性が業務ごとに明らかになってきている。例えば、お互いに知見があるテーマについて議論する際はテレワークでも可能だが、ブレインストーミングを行う場合は対面の方がよい。ポストコロナ時代においては、このような経験則の共有を通じて、業務効率を最大化する手段が場面ごとに選択され、出社とテレワークのベストミックスが追求されることを期待する。
■ テレワークを前提としたポストコロナ時代の新しいパフォーマンス・マネジメント
ポストコロナ時代には、テレワークが働き方として定着することが想定されるため、「部下の行動観察を前提としないマネジメント」への転換が求められよう。成果がより一層求められるなか、新しいマネジメントにおいては、目標の明確化と、上司と部下の1on1の面談によるきめ細かなフィードバックが必要になる。
目標を明確化するためには、上司が部下に対し、その時々に優先的に取り組むべき課題の明確化と、機動的な修正が求められる。その前提として、働き手一人ひとりの職務・職責を明確化する必要がある。
きめ細かなフィードバックの実施にあたっては、対面のみならず、チャットや電話など、かたちにこだわらない部下とのコミュニケーションの機会を増やすことが肝要である。
ポストコロナ時代に生産性を高めるためには、出社とテレワークのベストミックスや、テレワークを前提とした新しいパフォーマンス・マネジメントを確立していかなければならない。
【労働政策本部】