Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月22日 No.3472  ニューノーマル時代における感染症、災害対応のデジタル化について聴く -社会基盤強化委員会企画部会

経団連は9月29日、社会基盤強化委員会企画部会(大知久一部会長)をオンラインで開催した。

昨今、国土強靱化や災害時における迅速な被害予測ならびに状況把握などの観点から、デジタル技術や国・地方自治体間あるいは民間企業間でのデータの利活用が着目されている。また、今般の新型コロナウイルス感染症拡大に際しても、感染状況の早期把握や感染経路特定のための情報共有が課題となっている。

そこで、国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)の臼田裕一郎総合防災情報センター長と、内閣官房情報通信技術総合戦略室の大西公一郎企画官を招き、コロナ後のニューノーマル時代における防災情報基盤の構築、社会基盤強化に向けた公的セクターにおける情報システムのネットワーク化などについて説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 臼田防災科研総合防災情報センター長

臼田総合防災情報センター長

ニューノーマル時代における課題は、(1)情報の多様化・大量化(情報過多等)(2)災害の多様化・多発化(度重なる「100年に一度」等)(3)社会の多様化・分散化(オンラインを基本とした分散型社会等)――への対応である。ポイントは、(1)災害時に集めた情報をフル活用する「統合」(2)災害や被害の変化に着目する「動態」(3)個人や組織が共に知り、備え、行動・連動する「協働」――である。

防災科研では、形式が異なる防災情報をつなぐネットワーク「SIP4D」を開発している。また、人や社会の動きをデータ化し、AIで自動解析して対応に活かす、Society 5.0の防災版である「CPS4D」と呼ばれる技術も研究している。こうした技術が社会実装されれば、例えば避難所の混雑具合に応じて救援物資の送付や復旧すべきインフラの特定、災害の発生予測や被害の迅速な把握が可能となる。

■ 大西内閣官房企画官

大西企画官

わが国のIT戦略は、2001年の「e-Japan戦略」を契機にしたインフラ整備とIT利活用を中心に始まり、その後、政府CIOの設置や官民データ基本法の成立等により、データ利活用とデジタル・ガバメントが新たな戦略の柱となっている。行政手続きのオンライン化、テレワークやGIGAスクール構想(一人一台端末)などに従前から取り組んできたが、コロナ禍を契機に優先順位が上がった。こうした課題に、内閣官房による政策調整の枠組みを超えて、新たにデジタル庁として取り組んでいく。

国民に対して主にサービスを提供する主体は地方自治体であるため、全自治体でオンライン申請を可能とするための受付システム「マイナポータル」の改修や、迅速な事務処理を実現する自治体システムの標準化などを政府が行い、地方自治体のデジタル化を推進していく。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】