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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月22日 No.3472 自然なかたちで「ダイバーシティ&インクルージョン」を進める -「第19回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催/畑中副議長が講演

経団連は9月30日、会員企業各社の女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、畑中好彦審議員会副議長(アステラス製薬会長)をメンターに迎え、東京・大手町の経団連会館で「第19回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。43名の女性役員が出席し、講演を聴くとともに意見交換を行った。講演の要旨は次のとおり。

■ アステラス製薬のダイバーシティ&インクルージョンの取り組み

組織について振り返ると、高度経済成長期までは「同質性」が強さを発揮し、段階的な進化(Evolution)を遂げれば十分であった。しかし、この方法で生み出せる価値には限界があり、どこかで「Transform」しなくてはならない。そこで、多様な「知」が刺激し合い、イノベーションを生み出すことが必要となる。これからは多様な人材を受け入れる企業の懐の深さが重要になる。

アステラス製薬は、グローバルに魅力的な会社を目指すなかで、当たり前に多様性を受け入れなければ成長できないことを学び、自然なかたちでダイバーシティを進めてきた。その過程では、例えば、日本にだけ残っていた役職呼称を「さん付け」に変えた運動や、多様性先進国の米国にも残るジェンダーギャップの解消に向けて社内外の女性を1600人ほど集めた「Women in Action」の開催などを行ってきた。

■ リーダーを担う皆さんへのメッセージ

国境を越えた多様な社員に指示を出す皆さんには、まず「言葉のマジック(言葉の持つ響き・危うさ)」を考えてもらいたい。例えば、“世論”や“若者”という言葉には厳密な定義はない。よく吟味せずこうした言葉を使えば、世界では100とおりの意味にとらえられるだろう。言葉を選ぶ繊細さを持つほか、他の言語での伝わり方まで考えるなど、言葉に常に気を配ることが大切だ。また、「マイノリティの価値」を経験することも有益である。私は米国に行って初めて、自分は何者で、何ができて何がわからないのか、説明する苦労をした。自分が日本人であることを自覚し受け入れ、堂々と自分を表現することの大切さを痛感した。皆さんには社内でマイノリティになる機会があればぜひ利用し、楽しんでほしい。

次に、「LEADERSHIPとFOLLOWERSHIP」も大切にしてほしい。ある時は自分に合ったスタイルでリーダーシップを発揮しつつ、別の仕事では最高のフォロワーとなって、リーダーの仕事をよりよいものにすることが望ましい。このバランスを持った人間が多いほど組織は強く、スピード感を持つ。また、「余分な力を抜く」ことも重要である。キャリアを考える際には、あまり明確なゴールを決めつけると、そこから外れた際の立て直しに労力が要る。キャリア像はぼんやりと持ち、柔軟に取り組むぐらいでよいのではないか。

最後に、仕事も人生も、一人では達成できない。相手を理解しつつ、相手にとって価値になるものを与えることを日々考えることが大切だ。

◇◇◇

講演後、マインドの浸透と自主性の尊重との葛藤をはじめとする活発な意見交換を行い、畑中副議長が参加者に多岐にわたるアドバイスを送った。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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