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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年11月12日 No.3475 日ASEAN経済関係の現状と展望等をめぐり議論 -アジア・大洋州地域委員会

説明する藤田氏

経団連は10月27日、アジア・大洋州地域委員会(伊藤雅俊委員長、原典之委員長)をオンラインで開催し、日本アセアンセンターの藤田正孝事務総長から、ASEAN諸国における貿易・投資の現状や日本企業とASEAN諸国の関係等について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 多様性を包含しつつ連帯して発展するASEAN地域

バンコク宣言のもと、1967年にASEANが設立されて53年が経過した。ASEAN加盟国は宗教、民族、言語、政治体制、通貨、経済発展の度合いなどが異なるものの、「共同体をつくる」意識のもと、連携してきた。当初は、政治的安定と平和を目的としたが、92年のASEAN自由貿易地域(AFTA)、2015年のASEAN経済共同体(AEC)の設立など、今や経済的な協力機構としての側面が強い。ASEANの貿易自由化や関税削減は、民間の提案によるものも多い。例えば、ブランド別自動車部品相互補完流通計画(BBC)の導入や原産地規則の変更では、日本企業の要望が大きな役割を果たした。

■ ASEANにおけるグローバリゼーションの状況

ASEANのグローバル化のスピードは、貿易・投資の両面で、近年鈍化している。また、ASEANのグローバル・バリューチェーンへの参加の度合いは一定であるのに対し、リージョナル・バリューチェーンへの参加の度合いは増えており、域内に注力する傾向がみられる。これに関連し、今回のコロナ禍では、分断されたサプライチェーンの強靱化が大きな課題になった。一般に、「ある産業のサプライチェーンにおいて、ある国が独占・寡占的な状態にあると、分断されるリスクが高い」とされる。供給面の分析では、ASEAN諸国の多くの産業で高い市場占有率を持つ中国からの供給が途絶すると、深刻な事態に陥る。

■ 日ASEANは互いに重要なパートナー、多様な経済関係の発展に期待

他のアジア諸国企業のASEAN進出が拡大するなか、日本はASEANにおいて、貿易投資等の分野で引き続き大きな存在感を示している。また、日本にとってASEAN諸国の重要性は高まっている。例えば、対日FDI(直接投資)中、ASEANのシェアは過去20年で4倍になり、ASEAN諸国からの訪日観光客数は総数、シェアとも拡大している。

ASEAN諸国は成長センターとして、デジタル化やFTA利活用の強化などを通じて、不確実性の時代に対応しようとしている。現在、ASEAN諸国全体のGDPは日本の約60%だが、ここ数年の成長率が継続すれば10年以内に追い越すだろう。今後は、地球規模の課題解決に向けて、例えば、環境(温室効果ガス削減)、保健医療(高齢化社会対応)、技術革新(医療用テキスタイル)などの分野で、日本とASEAN諸国が一層協力、連携していく必要がある。また、従来の投資に加えて、契約に基づく事業である非出資型形態も有効だ。

【国際協力本部】

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