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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年11月12日 No.3475 「ビジネスと人権」に関する行動計画について聴く -企業行動・SDGs委員会企業行動憲章タスクフォース

経団連は10月19日、企業行動・SDGs委員会企業行動憲章タスクフォース(関正雄座長)をオンラインで開催した。外務省総合外交政策局人権人道課の富山未来仁課長から、10月16日に公表された「『ビジネスと人権』に関する行動計画」(NAP)について説明を聴き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ NAP策定の経緯

国際社会では、2015年のG7エルマウ・サミット首脳宣言および17年のG20ハンブルク・サミット首脳宣言において、NAP策定を支持する声明が出されている。日本では、16年末にNAP策定を決定し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」(指導原則)の3つの柱である(1)人権を保護する国家の義務(2)人権を尊重する企業の責任(3)救済へのアクセス――を軸に、NAP策定の議論を進めてきた。これまで、ベースラインスタディーを経て、課題と優先分野の特定を行い、諮問委員会(3回開催)、作業部会(6回開催)においてステークホルダーからの意見を聴取し、パブリック・コメントを募集し、NAPの公表に至った。

■ NAPの概要

まず、「第1章 行動計画ができるまで」では、NAP策定の経緯や必要性を明らかにしている。

次に、「第2章 行動計画」では、政府と政府関連機関および地方公共団体等、企業、社会全体、それぞれの「ビジネスと人権」に関する理解促進と意識向上、サプライチェーンにおける人権尊重促進のための仕組みの整備、救済メカニズムの整備と改善を基本的な考え方としている。指導原則に沿った行動計画では、各省庁の既存の取り組みと今後行っていく具体的な措置が明記されている。

「第3章 政府から企業への期待表明」では、指導原則等の国際的なスタンダードを踏まえ、企業が人権デューデリジェンス(人権DD)のプロセスを導入し、サプライチェーンにおけるものを含むステークホルダーとの対話を行うことを期待していると記されている。

「第4章 行動計画の実施・見直しに関する枠組み」では、行動計画の期間を5年とし、毎年、関係府省庁連絡会議で実施状況を確認する。初年度においては、企業の人権DD実践のためのフォローアップの方法など企業団体等と協力のもと、検討していくことが記載されている。

◇◇◇

意見交換では、NAP策定を踏まえ企業に期待することや、企業が自主的に人権DDを実践するうえで役立つガイダンスの策定を求めるコメントがあった。

これに対し、富山課長は、欧州で人権DDの義務化が進むなか、日本企業にとっては必要な取り組みであると指摘。そのうえで、今後、投資家からの関心がさらに高まることを踏まえると、「ビジネスと人権」はリスクではなく、企業の国際的競争力を高めるよい機会でもあると考えられることから、政府としては、企業からの要望を聴いたうえで、関連の情報提供や、人権DDを実践する際に必要なツールの作成について検討していきたいとコメントした。

【SDGs本部】

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