■ 東京ガスグループ経営ビジョン「Compass2030」
東京ガスグループは、環境性に優れた天然ガスを1969年に日本で初めて導入し、今日まで半世紀以上、新しい商品やソリューションの提供とエネルギーの安定供給を通じ、国内外で天然ガスの普及拡大をリードし時代を切り拓いてきた。そして今後も、安定性・環境性・経済性に優れた天然ガスは、国内外で需要が拡大すると考えている。
一方で近年、気候変動問題が深刻化し、脱炭素化が大きな潮流となっている。気候変動に対して真摯に向き合っていくことも、化石燃料である天然ガスを扱う企業の責務と考え、2019年11月、次なる半世紀を見据えて発表した東京ガスグループ経営ビジョン「Compass2030」において「CO2ネット・ゼロ」をリードする挑戦を掲げた。
■ CO2ネット・ゼロに向けた取り組み
東京ガスグループは、お客さま先を含む事業活動全体で排出するCO2のネット・ゼロに挑戦している。CO2ネット・ゼロの社会へ向けて、既存のインフラ・設備を最大限に活用する視点やレジリエンス強靱化への寄与も踏まえながら取り組みを推進する。
具体的には、都市ガス・LNGへの燃料転換を進めることで、確実に省CO2を図っていく。そして、加熱や空調といった各利用分野にあわせた高効率化や、ガスコージェネレーション、燃料電池といった熱電併給・高効率化により、さらなる省エネルギー・省CO2に貢献する。また、国内外で再生可能エネルギー電源取扱量を拡大するとともに、その変動性に対し、制御性に優れる天然ガスを組み合わせることで、安定的かつ低廉なエネルギーを供給する。
これらのエネルギーシステムについてデジタル技術を活用し、面的利用を促進するスマートエネルギーネットワークや分散型リソース(再生可能エネルギー、ガスコージェネレーション等)を1つの発電所のように自動統合制御するVPP(バーチャルパワープラント)の構築等、新たなビジネスを創出し価値を提供する。
加えて、CO2ネット・ゼロに資する技術の研究開発にも取り組んでいる。例えば、脱炭素化に資するコア要素技術、水素やメタネーション・CCUS等のガス体エネルギーの脱炭素化や、CO2の有効利用の研究開発を並行して進めているところである。
ほかにも、海外における削減効果の取り込み等、複数の取り組みを合わせることで2050年以降を見据えたCO2ネット・ゼロを目指していく。
■ 国内外での取り組み事例
2020年、栃木県宇都宮市において7つの事業所のエネルギー供給を担う清原工業団地スマエネ事業を開始した。工業団地内の複数事業所間で電力と熱を共同利用する国内初の「工場間一体省エネルギー事業」である。面的なエネルギーシステムの最適化を図り、単独事業所では難しい約20%の省エネルギー・省CO2を実現するとともに、災害に強い中圧導管によるガス供給と停電時対応型ガスコージェネレーションの運用等によるレジリエンスの向上も図っている。なお、同様の取り組みは都市部の商業用物件でも展開している。
再生可能エネルギーに関しては、米国テキサス州で開発を進めている太陽光発電や富山県、千葉県の木質バイオマス発電など国内外で事業を拡大しており、浮体式洋上風力発電事業に向けたウインドフロート技術にも取り組んでいる。
安定性・環境性・経済性に優れ、再生可能エネルギーとの相性も良い天然ガスに期待される役割は、これからも拡大すると考えている。引き続きその価値をお客さまへ提供するとともに、再生可能エネルギー活用をはじめ、技術的なイノベーションにも取り組み、新しい技術と天然ガスを組み合わせ、暮らし、都市、地球に対してソリューションを提供していく。