Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年12月3日 No.3478  ポストコロナ時代におけるD&I推進に向けた取り組みを聴く -ダイバーシティ推進委員会企画部会

経団連は11月18日、ダイバーシティ推進委員会企画部会(工藤禎子部会長)をオンラインで開催し、資生堂社会価値創造本部ダイバーシティ&インクルージョンデパートメント室の本多由紀室長、日立製作所人財統括本部人事勤労本部兼ダイバーシティ推進センタの山本夏樹本部長から、「ポストコロナ時代におけるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進に向けた取り組み」をテーマに講演を聴くとともに意見交換を行った。講演の概要は次のとおり。

■ 資生堂の取り組み(パワー・オブ・ダイバーシティ)

本多氏

資生堂は、新たな企業ミッションを「ビューティーイノベーションでよりよい世界を」と定めた。美は人々に新たなエネルギーを呼び起こし、世界を変える力があると確信している。

D&Iは当社にとっても社会にとっても重要なテーマである。歴史のなかで培ってきた企業文化、組織風土は価値醸成の核になっており、当社は、ESG経営にCulture(C)を含め、ESCG経営として推進している。D&IをESCG経営のなかでどう進めているかについては、ジェンダー平等の達成が一つの柱である。30% Club Japanへの参画や、女性研究者の支援等を通じて、女性のキャリア成長をグローバル規模で展開している。多様なバックグラウンドを持つ5人の女性役員と話をする機会を設けるなど、自分らしいリーダーのあり方を肯定していく。

女性のキャリア成長に向け、これまで3つのステージを経てきた。育児休業からの復職率がほぼ100%となり、育児との両立が理由で退職せざるを得ない女性社員はほとんどいない。今は育児期に限らず女性にキャリアアップを目指してもらうステージにある。育児は休みではなく成長につながる貴重な経験であり、キャリアの一つととらえている。育児期のリーダーが増え、社内のロールモデルが身近に存在することが若い社員のキャリア形成にも好影響を与えている。男女ともに育児・介護をしながらキャリアアップできるステージにある。

■ 日立の取り組み(多様な人財の活躍推進)

山本氏

これからの事業の方向は、社会イノベーション事業をグローバルに展開し、現在そして将来の世界社会に貢献することである。グローバルな社会・顧客のニーズを探索し、課題を解決していくため、「ダイバーシティ」と「主体的で自立した個」をキーワードとした人財マネジメントへの転換が必要になっている。

今は経営戦略としてダイバーシティを推進する段階にある。4月にチーフD&Iオフィサーを任命し、経営層の女性/外国人の10%達成を目標としている。今年10月には女性管理職の目標800名も達成した。

多様な人財が自立して生産性高く働ける環境の実現に向けて、グローバル共通の人財マネジメント基盤をつくり、新型コロナウイルスの感染拡大以前からジョブ型人財マネジメントへの転換を図ってきた。日本国内での推進に向けては、ワークライフイノベーションを進めてきた。リモートワークは新型コロナ発生を機に加速し、実施率は約9割となった。この流れを元に戻すのではなく、「ニューノーマルでの理想の働き方」に向けたジョブ型人財マネジメントを推進し、日立グループグローバルでの人財配置・オフィスのあり方等を構築することで、生産性の向上と多様な人財のさらなる活用を図っていく。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】