経団連は12月2日、中国国際経済交流センター(CCIEE)と共に、日中CEO等サミットをオンラインで開催した。同会合は、日中経済界同士の交流強化や協力促進を目的に2015年から毎年開催している。6回目となる今年は、日本側から福田康夫元内閣総理大臣や古賀信行審議員会議長、中国側から曽培炎CCIEE理事長・元国務院副総理をはじめ、日中両国から約40名が参加した。
第1セッションでは、足元の経済情勢等をめぐり議論した。中国側は、内需と外需の双方による好循環で発展を目指す「双循環」等、先般公表された「第14次5カ年計画」に関する提案について説明。さらに、中国は米中経済貿易協定に適切に対応しており、米中両国は競争しつつも、相互に尊重していくべきとの考えを示した。日本側は、経済活動と感染拡大抑制の両立を図る取り組みを紹介するとともに、早期の人の往来の再活性化への期待、行動様式の変化に伴うデジタル化への対応の重要性、イノベーションを社会実装するためのスタートアップ企業の役割等について言及した。
第2セッションでは、ポストコロナ時代の日中経済協力の展望について議論を深めた。多くの参加者が、コロナ禍によりデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、新たな市場創出につながっていることを指摘。また、先般署名された地域的な包括的経済連携(RCEP)協定によって、両国間の経済交流が一層活発化することへの期待を示した。あわせて、サプライチェーンの強靱化を通じて、地域の連結性を強化していく重要性を共有した。両国が直面している少子高齢化への対応については、医療・ヘルスケア等に関して互いの知見を活用し、協力していくことに加え、疾病予防・健康維持のためのビッグデータの利活用の促進についても期待を寄せた。環境分野に関しては、両国首脳がカーボンニュートラルの実現を目指す旨宣言したことから、その実現に向け、イノベーションによる技術の開発・普及に努めるとともに、金融面からも後押しすることが必要との意見があった。
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以上の議論を踏まえ採択された共同声明では、新型コロナの感染拡大抑制と経済活動再開の両立に向けた協力の重要性を確認。そのうえで、(1)知的財産権の保護やデータ流通にかかるルール形成等について必要な連携を図ること(2)自由で開かれたグローバル貿易・投資体制の堅持・拡大に向けたルール整備等が重要であること(3)両国の共通課題の解決のため協力を推進し、SDGsの達成に貢献すること――等を盛り込んだ。
【国際協力本部】