経団連の農業活性化委員会(十倉雅和委員長、佐藤康博委員長、磯崎功典委員長)は11月24日、九州経済連合会(九経連、麻生泰会長)と共催で「農業活性化に向けた企業タイアップセミナー」をオンラインにより開催した。
同セミナーは、生産現場への企業参入の促進を目的に「企業による農業参入セミナー」として2013年から開催している。今年度は、コロナ禍でさまざまな課題が顕在化するなか、フードバリューチェーン全体の最適化が重要との考えで両団体間が一致し、企業が保有するノウハウの農業・食品産業での幅広い活用促進を目的に実施した。
冒頭あいさつで佐藤康博副会長・農業活性化委員長は、農業が基幹産業である九州での取り組みの紹介や各地への横展開が、今後の新たな連携や協創につながることに期待を示した。
続いて、農林水産省の横井績九州農政局長が、トレーニングファームの設置等による担い手の確保・定着、スマート農業実証プロジェクト成果の現場実装、加工・販売施設の整備、国際水準のGAP認証の取得促進等による農林水産物・食品の輸出拡大など、九州農業の成長産業化・活力創出に向けた取り組みについて説明。個の力の強化とあわせ、連携と協働による個の力の結集を図ることで取り組みの効果をさらに高めていきたいと述べた。
その後、九州各県が農業との連携を検討する企業への支援体制について紹介するとともに、農業の6次産業化に取り組むワールドファームの上野裕志代表取締役が講演した。上野氏は、儲かる農業のポイントとして、半径10~15キロメートル圏内に生産現場(農地)と加工現場(工場)を設置することにより、栽培から加工・販売まで一貫した体制で経費の削減と効率化に取り組んでいることを紹介した。
続いて、マイナビの池本博則執行役員兼農業活性事業部長が、企業として農業に携わる際には、農業への直接の参入に加え、技術的な支援や購入・流通等の側面的な支援など、あらゆる連携について検討してもらいたいと呼びかけるとともに、“マイナビ農業“として情報提供を通じた農業・地域の活性化を図りたいとの意気込みを語った。
最後に、陣内芳博九経連副会長・農林水産委員長があいさつし、企業と農業の連携の加速は地方創生につながるとし、農業の発展に向けた企業の重要性を強調した。
経団連は引き続き、地域とも連携しながら農業振興に資する企業の取り組みのあり方について検討を深めていく。
【産業政策本部】