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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年1月1日 No.3481 特許出願等の現状と今後の対応について糟谷特許庁長官から聴く -知的財産委員会

経団連は12月1日、知的財産委員会(山本正已委員長、柵山正樹委員長)をオンラインで開催し、特許庁の糟谷敏秀長官から、「With/Afterコロナの研究開発・特許出願戦略に向けて」をテーマに説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ イノベーション停滞への懸念とデジタル化

新型コロナウイルスの影響で事業環境が厳しさを増すなか、イノベーションの停滞が懸念されている。リーマンショック後における日本の民間企業による研究開発投資の回復には、諸外国と比較して遅れがみられた。その後、特許出願件数が減少するとともにイノベーション力が低下したという経緯がある。

新型コロナの感染拡大とともに減少した出願件数は、意匠・商標は回復したものの、特許出願件数は減少が続いている。ヒアリングの結果、今後特許出願件数が減少すると回答した企業が44%に及ぶ。

現在、9割以上の手続きが電子化されているが、今回のコロナ禍を機にすべての手続きを電子化することを決定した。また、紙申請の場合の押印を廃止する方向で検討している。

■ 特許・意匠・商標の現状

各国の特許出願件数は増加しているのに対し、日本の出願件数は減少している。減少の主要因には、電気機器メーカーの出願方針が変化したことなどが挙げられる。世界各国の特許登録件数が増加したことで、審査の際に調査する外国語文献数が増加している。特許審査のスピードは速くなっており、審査の質を高める努力も行っている。

出願件数が横ばいの意匠は、より活用の余地がある。機能と密接に結び付いた形態も保護できる。意匠権により外見だけ似せた粗悪な模倣品を排除し、ブランドを守ることができる。活用方法として、警告後に和解するケースが多く、水際における輸入差止実績も急増している。

商標は、近年出願数が増加しており、一次審査通知までの期間および権利化までの期間が延びている。2022年度末までに、一次審査を6.5カ月、権利化までの期間を8カ月とする目標を設定している。

■ 特許庁の財政状況と今後の対応

08年以降、数回にわたり特許および商標関係料金を引き下げたが、システム刷新や庁舎改修のための経費増大により、特許特別会計の剰余金残高が急激に減少している。特許印紙手数料の削減や外国語文献調査の外注費用削減、システム改修コストの抑制等歳出を徹底的に見直し、中小企業審査請求料減免制度の適正化も行いたいが、それでも賄いきれない分は、料金値下げ分の一部を戻す必要がある。

特許庁ウェブサイトで特許庁行政に関する意見を募集している。いただいた意見は余すところなく検討し、改善に努めていく。

【産業技術本部】

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