経団連、経団連事業サービス(中西宏明会長)は1月26日、「第124回経団連労使フォーラム」をオンラインにより開催した。
同フォーラムは、今年の春季労使交渉をめぐるポイントや労使で取り組むべき重要課題などについて、幅広く情報を共有しながら、さまざまな観点から検討する場として毎年この時期に開催。全国各地から企業経営者や人事・労務担当者ら約280人が参加し、「ウィズコロナ時代の働き方改革~ポストコロナを視野に入れて」をテーマに、新型コロナウイルスによる事業環境の変化などを踏まえた働き方や処遇のあり方を探った。
開会あいさつで中西会長(久保田政一事務総長が代読)は、今年は、コロナ禍で経営環境の先行きへの不透明感が強いなかでの春季労使交渉・協議となることから、組合側と経営側とが、事業の継続と雇用の維持を最優先に、今後の事業運営に必要な情報や認識を共有したうえで、コロナ禍を乗り越え、競争力強化を図っていくために何をすべきか、真摯な議論が求められると指摘。
さらに、コロナ禍で業績がまだら模様となっていることから、業種横並びや各社一律ではなく、自社の実情に合った賃金決定を行うことが肝要であると呼びかけた。
続いて、BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長の中空麻奈氏が「2021年日本経済の行方~クレジット市場からの展望」をテーマに講演した。中空氏は、ポストコロナを見据えて、コアビジネスの選別やサプライチェーンの見直しを図りながら、バランスシートの改善を進めることが企業に求められると強調。「どうせ金利は上がらないなど、誰もが信じて疑っていないことへの備え、プランBを用意する必要がある」と述べた。
2021年版「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」の解説に続き、東日本旅客鉄道会長の冨田哲郎氏、コマツ会長の大橋徹二氏、慶應義塾大学商学部准教授の風神佐知子氏が「ポストコロナを見据えた働き方改革の新たな取組み」をテーマに鼎談を行った。
同鼎談では、まず働き手のエンゲージメントについて討議し、エンゲージメント向上は、顧客満足度を上げることにもつながるという、働き方改革とサービス変革との相乗効果を確認。さらに、地域と中小企業の活性化をテーマに、企業主導で地方創生を図っていく枠組みの構築などについて議論した。
その後、UAゼンセン、自動車総連、電機連合の各産別労組リーダーが「今次労使交渉に臨む労働側の考え方」について講演。
最後に、連合の神津里季生会長が「連合ビジョン『働くことを軸とする安心社会―まもる・つなぐ・創り出す』の実現に向けて」と題して講演し、コロナ禍にあっても、賃金引き上げのモメンタムを維持していくことが重要であると訴えた。
【経団連事業サービス】