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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月11日 No.3487 多文化共生社会の形成に向けた取り組みを聴く -産業競争力強化委員会外国人政策部会

経団連は2月1日、産業競争力強化委員会外国人政策部会をオンラインで開催し、明治大学国際日本学部の山脇啓造教授から、多文化共生社会の形成に向けた取り組みと課題について聴いた。概要は次のとおり。

■ 多文化共生社会とは

総務省によると、多文化共生は、「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」と定義されている。

具体的な取り組みとしては、(1)コミュニケーション支援(2)生活支援(3)意識啓発と社会参画支援(4)地域活性化の推進やグローバル化への対応――がある。

■ 自治体・国の取り組み

政府が外国人材の活用を積極的に進めるなか、多文化共生の具体的施策を担ってきたのは地方自治体である。自治体では1970年代から外国人住民施策に取り組んできており、次第に体系的な施策の必要性が認識されていった。

2001年には外国人集住都市会議が発足し、自治体間の連携が進んだ。10年代になると、浜松市の「多文化共生都市ビジョン」をはじめ、生活支援から活躍支援へと政策の軸足が移りつつあり、私はこれを「多文化共生2.0」と呼んでいる。

国においても、06年の総務省「多文化共生推進プラン」をきっかけに、「生活者」としての外国人に対する政策が進められてきた。12年の住民基本台帳制度改革では、初めて日本人と外国人の台帳が一本化され、外国人は文字どおり「住民」になった。そして19年には、外国人政策の総合調整を担う出入国在留管理庁(入管庁)が発足し、全国の自治体における総合相談窓口の設置支援や外国人在留支援センター(FRESC)の設立、「やさしい日本語」のガイドライン策定等、共生社会に向けた施策が進んでいる。

■ 今後の課題

第1は、体制づくりである。多文化共生を推進するための基本法の制定と省庁横断的な体制の整備が必要だ。当面は、国と自治体の連携のため、法務省(入管庁)と総務省、FRESCと自治体国際化協会の連携を強化するとともに、地方入管と自治体の連携を担う受入環境調整担当官の増員・育成が欠かせない。

第2は、具体的な生活・就労環境の整備である。教育や医療、住居、防災、雇用など課題は山積みである。19年に日本語教育推進法が制定されたが、諸外国のように、日本語教育プログラムを国が用意する必要がある。

第3は、外国人住民への情報発信の強化である。遠隔通訳や自動翻訳の活用、やさしい日本語の普及のために、国は多言語化のガイドラインを策定すべきだ。

企業も重要な役割を担っている。自社および調達先・取引先の労働関係法令順守、外国人社員の日本語教育や生活支援等に期待したい。

【産業政策本部】

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