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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月25日 No.3489 小惑星探査ミッション「はやぶさ2」の技術とマネジメント -経団連昼食講演会シリーズ<第43回>/JAXA宇宙科学研究所はやぶさ2プロジェクトチームの津田プロジェクトマネージャが講演

経団連事業サービス(中西宏明会長)は1月27日、第43回昼食講演会をオンラインで開催し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所はやぶさ2プロジェクトチームプロジェクトマネージャの津田雄一氏から講演を聴いた。概要は次のとおり。

■ ミッションの全貌

2014年12月3日に打ち上げられた日本の小惑星探査機「はやぶさ2」は、18年6月27日、人類未踏の小惑星「リュウグウ」に到着。その上空に1年半滞在し、2回の着陸、サンプル採取、直径10メートル超の人工クレーター作成等、数々の成果を挙げた。昨年12月6日、6年ぶりに無事地球に帰還。小惑星の物質を取り込んだカプセルは本体から切り離され、オーストラリアのウーメラ砂漠に着地した。カプセルからは、目標の0.1グラムをはるかに上回る、5.4グラムもの大量のサンプルが確認された。はやぶさ2は、まさに完璧な帰還を成し遂げたといえる。現在、はやぶさ2は再び地球を旅立ち、次なる小惑星の探査を行う拡張ミッションに臨んでいる。

■ 3つの困難

大成功を収めたミッションであったが、その道のりは決して平坦ではなく、行く手には3つの困難が立ちふさがった。第1に、小惑星は予想以上に凹凸が多く、着陸地点が容易には見つからなかったこと。第2に、1回目の着陸では思うように降下せず、着陸中止の緊急判断を迫られたこと。第3に、1回目の着陸成功の後、着陸を失敗して機体が損傷し、地球への帰還が果たせなくなるリスクを冒してまで2回目の着陸を敢行するのか、ぎりぎりの決断を迫られたことである。結果的には、いずれも事前の徹底したシミュレーションが功を奏し、また約600名のチームメンバーがそれぞれの専門分野で自発性を発揮して取り組んだことで、困難を乗り越えることができた。

■ 成功を収めるマネジメント

はやぶさ2プロジェクトにおいて、チームメンバーのスローガンとして「Challenge, but NO gamble」を掲げた。「挑戦のない仕事は面白くない。挑戦は失敗を許容しないとできない。ただし、挑戦で失敗しても、決して安全(探査機の信頼性とメンバーの心理的な安全)で失敗してはならない」という考え方である。

宇宙探査の成功に向けてあらかじめ1つの答えがあるわけではない。そのため、与えられた課題に対して用意された答えを導き出せるチームではなく、自ら課題を設定し、それに取り組み続けられるチームづくりに努めた。これは宇宙探査に特有の考え方ではない。ビジネスの世界でも事業に影響を与える要素が複雑化しており、答えが最初からわかっているビジネスなど皆無なのではないか。したがって、課題の発見力・設定力を養うことは極めて重要である。

【経団連事業サービス】

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