経団連は3月23日、日本・インドネシア経済委員会(小林健委員長、國分文也委員長)をオンラインで開催し、ヘリ・アフマディ駐日インドネシア大使から、インドネシアの経済情勢や日本企業の新たな投資機会について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ インドネシアの経済情勢
新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済は大きく減速した。こうしたなか、インドネシアは他国に比べれば経済への影響は小さく抑えられており、2020年の日本の経済成長率がマイナス4.7%であったのに対し、インドネシアはマイナス2.1%にとどまっている。インドネシアでの新型コロナ感染者数は減少傾向にあり、20年第2四半期からは経済成長率も回復傾向にある。21年を回復の年にしたいと考えており、そのために重要なワクチン接種を今年2月から始めている。世界でさまざまな変異株が発生しており、油断することなく、全世界が強固な協力関係を築く必要がある。
■ オムニバス法を通じたビジネス環境整備
20年11月施行のオムニバス法(雇用創出法)を通じ、インドネシアにおけるビジネス環境整備を強力に推進したい。同法では、事業許認可や投資要件、労働、土地収用等11の重点分野を掲げており、このなかで外資規制の緩和や税制改正、政府系ファンドの設立等を打ち出している。特に新たに設立する政府系ファンドについては、インドネシア投資庁(Indonesia Investment Authority、INA)によるインフラ分野への投資拡充を主な目的としている。同ファンドには、マスターファンドとテーマ別ファンドがあり、マスターファンドには主に政府系機関が投資することを想定している。テーマ別ファンドは企業による投資を想定し、高速道路や港湾、空港のほか、医療・衛生、教育等を優先分野として考えている。ファンドの総規模は150億ドルの予定で、米国やUAE、日本が同ファンドへの出資に関心を示しており、先般、国際協力銀行(JBIC)から40億ドルの出資表明を受けた。ファンドの運営主体は専門的で独立性のある透明な組織にしていきたい。また、CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)や燃料アンモニアにおいても両国間で連携強化を進めており、加えて規制緩和によってリゾート地における病院開発等への外資の参画も促進したいと考えている。なお、二国間経済協力の促進に向け、オンラインプラットフォーム「JAIPONG(Japan-Indonesia Partnership Lounge)」を整備・運営しているので、こちらもぜひ活用してほしい。
【国際協力本部】