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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年4月15日 No.3496 サステナビリティ情報開示をめぐる国内外の動向 -金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォース

経団連は3月22日、金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォースをオンラインで開催し、金融庁総合政策局の岡田大総合政策課長、企画市場局の園田周企業開示課国際会計調整室長から、サステナビリティ情報開示を含む、サステナブルファイナンスをめぐる国内外の動向について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ サステナブルファイナンス有識者会議(岡田氏)

気候変動問題は、海面上昇等の物理的リスクのみならず、規制や需要の変動による企業業績の悪化といった移行リスクも伴うことから、金融安定の重大なリスクとなる。パリ協定の目標達成には2040年までに世界全体で54兆~68兆ドルの投資が必要と試算され、民間資金の動員が不可欠である。

こうしたことから、気候関連開示の推進と民間資金の動員が喫緊の課題である。わが国において、「2050年カーボンニュートラル」を経済と環境の好循環につなげることが、政府全体の課題と位置付けられたことを受け、昨年12月、「サステナブルファイナンス有識者会議」を金融庁に設置した。

さらに、トランジション・ファイナンスの促進に向け、経済産業省・環境省と共に「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」を開催し、ICMA(国際資本市場協会)のハンドブックをベースにトランジション・ボンド/ローンによる資金調達を行う際の指針策定について検討している。

■ 企業によるサステナビリティ開示の充実(園田氏)

一方、「企業による気候関連開示の充実」に関しては、WEF(世界経済フォーラム)が昨年、持続可能な価値創造のための共通の指標と一貫した報告に関する報告書を公表し、また、世界最大の資産運用会社のブラックロックがESG(環境・社会・ガバナンス)を軸とした運用強化を表明するなど、気候変動をはじめとする企業のサステナビリティへの取り組みとその開示に関して、投資家の関心が急速に高まっている。

こうした状況を踏まえ、昨年10月から再開した「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」では、サステナビリティに関する開示の質・量面での充実も含め、コーポレートガバナンス・コードの改訂に向けて検討している。さらに議論を深め、コーポレートガバナンス・コードの改訂案を取りまとめる。

国際的にESGフレームワークをさまざまな団体が策定・公表しているなか、それらの収斂に向けた動きが始まっている。昨年9月、IFRS財団は、サステナビリティに関する国際的な報告基準を策定すべく、新たな基準設定主体(SSB)を設置する旨の市中協議文書を公表した。これに対し、経団連を含むわが国の主要な市場関係者で構成されるIFRS対応方針協議会(※)からSSBの設置を支持する意見を提出した。

市中協議結果を踏まえ、IFRS財団は今年3月8日にSSBの戦略的方向性を公表した。基準開発にあたっては、投資家等の判断に重要な情報にフォーカスし、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)等の既存の枠組みや作業等をベースとして、気候関連の報告に注力する方向が示されている。今後、IFRS財団の定款改訂の市中協議を経て、SSB設置が今年11月に開催予定のCOP26に先立って最終決定される予定である。わが国としてもしっかり意見を発信し、わが国の考え方が反映されるよう基準づくりに参画していくことが重要である。

※ 経団連、日本公認会計士協会、東京証券取引所、日本証券アナリスト協会、企業会計基準委員会、財務会計基準機構、金融庁、経済産業省、法務省で構成。意見提出にあたっては、年金積立金管理運用独立行政法人、全国銀行協会、日本証券業協会、生命保険協会、日本損害保険協会、日本投資顧問業協会、環境省も議論に参画している

【経済基盤本部】

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