経団連(中西宏明会長)アメリカ委員会の早川茂委員長、植木義晴委員長、永野毅委員長は4月7日、米日議員連盟議長を務めるホアキン・カストロ(民主党・テキサス)、エイドリアン・スミス(共和党・ネブラスカ)両連邦下院議員とオンラインで懇談した。
冒頭、早川委員長から、訪米ミッションの派遣など日米関係の強化に向けた経団連の活動について紹介。両議長は、日本企業が米国の各州に進出し、投資や雇用を通じて米国経済に貢献しているだけでなく、良き企業市民として活動していることに対して感謝の意を示した。概要は次のとおり。
■ 気候変動問題への対応
永野委員長が、グリーン成長の分野について、脱炭素に向けたトランジションをも可能とする国際的なルールの策定に向け、日米が連携を強化すべきであると発言した。これに対しカストロ議長は、テキサス州のエネルギー源に占める風力の比率は全米1位であり、太陽光の活用も進んでいること、再生可能エネルギー産業が多くの雇用を創出していることを紹介した。また、長きにわたり化石燃料を生み出してきたヒューストンが、「世界のエネルギーの首都」であり続けるためには、グリーンなエネルギー源への転換が不可欠であるとの認識も示した。スミス議長からは、気象状況の変わりやすいネブラスカ州においては、エネルギー源の多角化が不可欠であり、政府がエネルギー源の「勝ち組・負け組」を選んで公的資金を投入するのではなく、長期的な視野での投資を奨励すべきであるとの問題意識が示された。
■ 新型コロナへの対応とワクチン接種
植木委員長は、日本における新型コロナウイルス対応について、ワクチン接種の遅れ等を背景に、国内旅客数の回復が米国に比べて著しく遅いことに言及した。これに対しカストロ議長は、米国では1日約400万人にワクチンが接種された日もあるなど、5月末までに成人全員にワクチン接種の機会が与えられる予定となっており、バイデン政権による1.9兆ドル規模の経済対策とも相まって、旅行業界にも雇用が戻り始めていると説明した。
■ 日米首脳会談への期待
最後に、早川委員長が、16日に開催予定の日米首脳会談に期待することについて質問したところ、カストロ議長は、中国や北朝鮮といった安全保障関連での日米連携や、QUAD(日米豪印戦略対話)の活用、新型コロナ対応における連携を挙げた。スミス議長は、貿易が日米の最優先課題であると発言し、半導体分野の貿易に関する両国の連携にも期待を示した。
【国際経済本部】