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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年5月27日 No.3500 洋上風力発電に関する政府の取り組みと課題 -海洋開発推進委員会総合部会

経団連は4月26日、海洋開発推進委員会総合部会(河野晃部会長)をオンラインで開催した。資源エネルギー庁の茂木正省エネルギー・新エネルギー部長から洋上風力発電に関する政府の取り組みについて、日本風力発電協会の加藤仁代表理事から洋上風力発電の現状と課題について、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 資源エネルギー庁

わが国は、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指しており、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として、洋上風力発電への期待が高まっている。

政府は、洋上風力の導入拡大に向けて「再エネ海域利用法」を19年に施行し、海域の長期占用の担保により事業安定性を確保するとともに、地域調整を円滑化する枠組みを導入し、事業者の予見可能性を高めた。同法に基づき指定した洋上風力の促進区域については、すでに公募を進めており、今後も継続的に案件を形成する。

また、政府は昨年末に「洋上風力産業ビジョン(第1次)」を取りまとめ、洋上風力の導入目標(30年までに1000万キロワット、40年までに3000万~4500万キロワットの案件形成)を明示。国内市場の創出をコミットし、国内外からの投資の呼び水にするとともに、案件形成を加速するため、日本版セントラル方式の確立に向けた検討を進めることとしている。また、関連インフラ整備のため、送電網や基地港湾の整備を進めている。さらに、洋上風力の発電設備は部品数が多く経済波及効果が大きいことから、国内でのサプライチェーン形成を図るべく、補助金・税制等による設備投資支援を措置しているほか、関連する規制の合理化等を進めている。あわせて、洋上風力に関する次世代技術開発に向けたロードマップを作成。グリーンイノベーション基金等も活用しつつ、技術開発・実証を推進していく。

■ 日本風力発電協会

洋上風力は、わが国のエネルギー自給率を向上させ、気候変動対策にも資するエネルギー源である。政府が「洋上風力産業ビジョン」で示した導入目標を達成するためには、今後10年程度で国内産業の基盤を形成し、30年以降の早期に国際競争力を高めるとともに、規制緩和や適切な電力ネットワークの形成等を進める必要がある。

現在、国内には送配電事業会社がエリアごとに独立した状態にあるが、再生可能エネルギーをうまく活用するためには、全国規模での電力ネットワークの一体的な運用や、洋上風力の発電ポテンシャルの高い北海道から消費地である関東への直流送電の整備による直送が期待される。また、洋上風力の発電設備を効率的かつ低コストで設置するためには、海上での作業を減らす必要があり、拠点となる基地港湾の計画的な整備も不可欠であろう。

わが国には潜在的な技術力とものづくりの基盤があり、「洋上風力発電産業」を形成するポテンシャルがあるといえる。政府による洋上風力の導入目標を踏まえた国内産業を振興するため、政府と議論している。

【産業政策本部】

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