経団連と中国経済連合会(中国経連、苅田知英会長)は5月20日、新型コロナウイルスをめぐる状況を踏まえて中止した中国地方経済懇談会に代わり、「中国経連・経団連首脳によるオンライン懇談会」を開催した。経団連からは古賀信行審議員会議長をはじめ副会長らが、中国経連からは苅田会長をはじめ副会長らが出席した。
冒頭、古賀審議員会議長は、「世界全体が困難に直面している今だからこそ、危機にひるむことなく、しっかりと感染対策を講じながら、社会経済活動と両立を図るという強い決意を持った行動が重要である」として、今回の懇談への意気込みを語った。また、苅田会長は、「新型コロナとの闘いを『新たな成長への道を拓く社会変革へのきっかけ』にしたい」と述べ、懇談の成果への期待を示した。
懇談では、まず「産業競争力のさらなる強化に向けて」をテーマに意見を交わした。キックオフとして、中国経連側が「地域の強みや特性を活かしつつ付加価値の高い製品やサービスを提供していくことが重要」と発言。
これを受け、経団連側からは、「昨年取りまとめた『。新成長戦略』に沿って、マルチステークホルダーとの連携のもとで取り組みを強化していく」(太田純副会長)、「DX(デジタルトランスフォーメーション)とオープンイノベーションを進めるうえでは、サイバーセキュリティ対策も重要な経営課題と認識することが必要」(篠原弘道副会長)、「2050年カーボンニュートラルの実現にあたっては、S+3E(大前提としての安全性+安定供給・経済性・環境性のバランス確保)のもとでエネルギーコストにも配慮しつつ進めることが重要」(杉森務副会長)、「インバウンドの復活には、ワクチンパスポートの導入がカギ」(安永竜夫副会長)――などの意見が出された。
続いて、「活力ある地域づくりへの取り組み」について議論。中国経連側が「企業や人の地方への流れの創出に向けて、魅力ある地域づくりに取り組んでいきたい」と発言したことに対し、経団連側は、「デジタル化とカーボンニュートラルの実現に取り組むことで、地域の魅力創出につなげていくことが重要」(隅修三副会長)、「当社は東広島市、広島大学と連携してSociety 5.0やスマートシティの実現に取り組んでおり、地域産業の活性化に向けた産業界の強いリードが大切」(中村邦晴副会長)、「地域産業の振興に向けて、スマート林業による同産業の活性化を図るべき」(大橋徹二副会長)――などの発言があった。
最後に、古賀審議員会議長は、「形式はどうであれ、お互いが接し、懇談の場を持ち続けることに大きな意義を感じる。率直な意見交換ができた」と総評したうえで、「来年は新型コロナをめぐる状況が改善され、現地で開催できることを強く願っている」と締めくくった。
【総務本部】