Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年6月10日 No.3502  立法府とエンジニアの対話の構築 -日本工学アカデミーの試み/イノベーション委員会企画部会

経団連のイノベーション委員会企画部会(江村克己部会長)は5月12日、オンラインで会合を開催し、日本工学アカデミーの永野博政策共創推進委員長から、「立法府とエンジニアの対話の構築~日本工学アカデミーの試み」をテーマに説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 日本工学アカデミーについて

日本工学アカデミーの創設は、江崎玲於奈博士が「工学学士院」構想を日本政府、国会、学術会議、経済団体に提唱したことに始まる。そして1987年4月に日本工学アカデミー創立総会が開催された。その後、今日に至るまで「人類の安寧とより良き生存のために、未来社会を工学する」を基本理念とし、産学官の工学・科学技術について指導的立場にある人々およそ800名が正会員として集い、地球社会の持続的発展のために、提言発信活動をはじめ、人材育成、国際連携、地域支部活動などを積極的に行っている。賛助会員にも多くの企業・団体が加盟しており、その数は年々増加している。

■ 国会議員と科学者の政策共創実現に向けた課題

科学的エビデンスに立脚した政策の立案・遂行において、立法府の役割は重要である。しかし、わが国では他の先進諸国にみられるような、科学者や技術者が創出する知的情報を組織的に立法府に届ける道筋も、立法府構成員と科学者・技術者の間の日常的な情報交流の場もない。このため、産業界を含む科学者・技術者側の政策リテラシーの向上を図るとともに、政策側である立法府構成員の科学リテラシー向上へ寄与することも見据えつつ両者による政策共創能力を高めていくための活動をつくり上げていくことが不可欠となっている。

■ ミッシングリンクの解消に向けた行動

「立法府構成員と科学者・技術者の組織的情報交流」というミッシングリンクの解消に向けて、当アカデミー内に政策共創推進委員会を設立した。同委員会が中心となって、科学者・技術者の考え方や意見を立法府構成員に届けるとともに意見交換できる道筋を開くことを目指す。この活動は、当アカデミーのみで行うのではなく、特定の分野にとらわれない活動を行っている多様な組織と協力しつつ進めるべきものである。今後は、これらの協力組織により構成される“政策共創プラットフォーム(仮称)”を設け、参加組織の協力を得ながらさらに活動を強化していく。

【産業技術本部】