経団連(十倉雅和会長)は6月15日、「グリーン成長の実現に向けた緊急提言」を公表した。
菅義偉首相は、昨年10月の「2050年カーボンニュートラル」(2050年CN)宣言に続き、今年4月に「温室効果ガスの2030年度46%削減」(2030年目標)を表明した。
この挑戦的なゴールを達成するには、時間的な余裕はなく、官民が総力を挙げて取り組まなければならない。今月1日の定時総会において、十倉会長が、サステイナブルな資本主義を確立すべく、GX(グリーン・トランスフォーメーション)に向けた取り組みの推進と、「カーボンニュートラル行動計画」策定の方針を示した。
そこで、カーボンニュートラルに向けた強い決意をあらためて打ち出すとともに、その実現に求められる施策を取りまとめた。
提言では、グリーン成長の実現に向けた基本方針として次の3点を掲げている。
- (1)2050年CNへの世界の関心と期待が一層高まるなか、従前から経団連が自主的に取り組んできた「低炭素社会実行計画」を「カーボンニュートラル行動計画」と改め、より一層強力に推進していく。
- (2)政府は、経済と環境の好循環に向け、国家戦略として、気候変動政策を成長戦略と一体的にとらえ、諸外国に劣後することなく、政策リソースを総動員し、民間の自律的な投資を促す必要がある。
- (3)政府は、2050年CNを目指す意義や将来像、2030年目標の実現に求められる取り組みやメリット・デメリット等につき、国民各層へのわかりやすい説明を尽くすべきである。
さらに各論では、
- (1)経済界の自主的取り組みを基軸とした削減努力の追求
- (2)産業・運輸・民生部門でのさらなる取り組みの促進
- (3)水素等の安価・安定供給、利活用拡大の加速
- (4)成長に資するカーボンプライシングの検討
- (5)サステナブル・ファイナンスの推進
- (6)積極的な気候変動外交の展開
――について、具体的な対策・施策を訴えている。
経団連は、「カーボンニュートラル行動計画」などを主体的かつ強力に推進し、政府と一体となって、グリーン成長の実現に最大限貢献していく。
【環境エネルギー本部】