広大な米国を構成する50州+1特別区。それぞれに異なる特徴を有し、わが国経済・産業との結びつきや関係性もさまざまです。米国をより深く知るためのステップとしても、各州の概況を把握しておくことが重要です。今号より、連邦行政管理予算局(OMB)の標準連邦地域区分を基本に、北東部地域から、各地域内のアルファベット順に、各州の情報を連載にてご紹介します。
1.コネティカット州
17世紀初頭、後のマサチューセッツ州にあたる地域から移動してきたピューリタン(清教徒)によって定住地がつくられたことが興り。1639年に定められた「コネティカット基本法」は、人民の意思に基づく民主的な政府を宣言しており、世界初の民主主義成文憲法といわれている。これを踏まえ、コネティカット州は「憲法の州」を公称している。
蒸気船、電卓、シリンダー錠、潜水艦といった新技術の開発に携わってきた歴史もある。その系譜を継ぐ製造業、特に輸送機械・軍需製品や金属加工などに強みを有する。
また、19世紀以来、多くの保険会社を擁する「保険の州」としても知られる。カリブ海に向かう船や貨物にかける海上保険に端を発し、現在では福島県程度の面積の同州内に約100の保険会社がひしめている。
こうした経済的背景から、1人当たり所得は約8万ドルと、ワシントンDCを除く50州中で最高である。
2.メイン州
1820年にマサチューセッツ州から分離して連邦に加盟した。
北東6州(ニューイングランド地方を構成するコネティカット、メイン、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、ロードアイランド、バーモント)のなかでは最大の面積を誇る。陸地の9割が森林に覆われているほか、山や湖沼、長い海岸線といった豊かな自然に恵まれることから「バケーションランド」とも呼ばれている。
政治面で特筆すべきは、一般的に勝者が州内の選挙人を総取りする米大統領選において、選挙人の分配が認められている珍しい州である(ほかにネブラスカ州がある)。合計4人の選挙人のうち州全体の勝者に2人、2つある下院選挙区の勝者にそれぞれ1人が分配される。2016年の大統領選では実際に民主党3、共和党1と分かれ、沿岸部と内陸部で政治色は大きく異なる。
人口に占める白人の比率は94%と、全米で最も高く、高齢者の比率も最も高い。
3.マサチューセッツ州
メイフラワー号に乗った清教徒が渡った地であるプリマスを擁し、今日に至る米国建国の歴史の端緒ともいえる州。北東6州では最大の690万人が暮らす。
世界的に著名なハーバード大学やマサチューセッツ工科大学が立地し、大学関係者、研究者、学生も多い。
米国における産業革命の草分けとなった地域として、今日でもハイテク産業等の製造業は主要産業となっている。とりわけバイオを中心とするライフサイエンス産業が注目されており、金融業も発展している。
こうした経済情勢を背景に、1人当たり所得はコネティカット州と僅差で50州中第2位である。
州都ボストンは日本との交流の歴史が長く、ボストン日本協会は全米各地の日米協会のうち最も早く設立された(1904年。第二次世界大戦中に一度解散したのち、53年に再設立)。現在は京都市と姉妹都市になっている。
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