経団連は6月15日、労働法規委員会(冨田哲郎委員長、芳井敬一委員長)をオンラインで開催し、厚生労働省の土屋喜久厚生労働審議官から、「労働行政の動向」について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
新型コロナウイルス感染拡大防止のためには、職場において、外国人労働者、高齢者、基礎疾患のある者も含めた感染防止策を徹底することが重要であり、引き続き協力をお願いしたい。厚労省も、副業・兼業、テレワーク、フリーランスについてガイドラインを策定・改訂している。副業・兼業ガイドラインでは、労使双方が納得感を持って進められる十分なコミュニケーションの重要性を強調した。テレワークガイドラインでは、その普及促進のため、簡便な労働時間管理(管理モデル)を示した。フリーランスガイドラインでは、独占禁止法や下請法の適用を明らかにするとともに、労働基準法における「労働者性」の判断基準と具体的考え方を明示し、これに沿った運用がなされるよう求めた。
働き方改革関連法の法案から外れた裁量労働制の見直しにあたり、専門家検討会が実態を調査している。最終的には労働条件分科会で審議する予定である(実態調査は6月25日に公表済み)。
通常国会では、男性の育児休業取得促進を骨子とする改正育児・介護休業法が可決・成立し、最も早い施行は来年4月となる。また、ILO基本条約のうち、日本が未批准の2条約について、超党派の議員連盟が批准すべく活動したこともあって、ILO第105号条約(強制労働の廃止に関する条約)批准のための整備法が議員立法として成立した。
労働安全衛生法令のうち化学物質の規制に関して、有識者検討会が、2002年のヨハネスブルクサミットでの提言を踏まえ、自律的な管理への移行に関する報告書を7月にも取りまとめる予定である。
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意見交換では、委員から、「企画型裁量労働制について適用対象業務の拡大が必要」「無期転換ルールの見直しを議論する際、企業が、雇用の安定という観点だけでなく、キャリアアップのため正社員に登用している実態を理解してほしい」といった意見が出された。これに対し土屋氏は、「ご指摘いただいた点は、今後、取り組み推進の議論にしっかり活かし、制度改善につなげていきたい」と応じた。
【労働法制本部】