経団連は6月14日、都市・住宅政策委員会(菰田正信委員長、根岸修史委員長、常陰均委員長)をオンラインで開催し、国土交通省の石田優総合政策局長から、国土交通分野におけるカーボンニュートラル(CN)に向けた課題や政策動向とともに、「第5次社会資本整備重点計画」のポイントについて聴いた。概要は次のとおり。
■ CNに向けた課題や政策動向
わが国は2050年にCNの実現を目指している。国土交通省のかかわる運輸・民生部門はCO2総排出量(エネルギー消費ベース)の約5割を占めることから、排出の削減に向けて、再エネ等による電源の脱炭素化、省エネや電化・水素化等の取り組みを進めていく必要がある。
こうしたなかで、国交省は、国土・都市・地域空間におけるグリーン社会の実現に向け、分野横断・官民連携で取り組むべき事項を6分野に分けて取りまとめた「国土交通グリーンチャレンジ」の作成を進めている。具体的には、
- (1)省エネ・再エネ拡大等につながるスマートで強靱なくらしとまちづくり(ZEH〈ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス〉・ZEB〈ネット・ゼロ・エネルギー・ビル〉の普及促進、インフラ空間等を活用した太陽光発電の導入拡大等)
- (2)グリーンインフラを活用した自然共生地域づくり
- (3)自動車の電動化に対応した交通・物流・インフラシステムの構築(次世代自動車の普及促進、電動化に対応した都市・道路インフラの社会実装の推進等)
- (4)デジタルとグリーンによる持続可能な交通・物流サービスの展開(ビッグデータを活用した渋滞対策、MaaS等の社会実装による公共交通の利便性の向上等)
- (5)港湾・海事分野におけるCNの実現・グリーン化の推進
- (6)インフラのライフサイクル全体でのCN・循環型社会の実現
――である。今後、具体的な施策を進めていきたい。
■ 「第5次社会資本整備重点計画」のポイント
政府が5月に閣議決定した「第5次社会資本整備重点計画」では、従来の目標に加えて、新たにインフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)と脱炭素化等の推進を重点目標として設定した。
社会資本整備のデジタル化・スマート化による働き方改革の推進や生産性の向上に向けて、「国土交通データプラットフォーム」の構築推進や、設計・施行等におけるICTの普及・活用促進、新技術を活用したインフラの点検・維持管理の高度化等を進めていく。また、新技術の社会実装によるインフラの新たな価値の創造に向けて、AI等によりオペレーションの最適化を図る港湾の実現やスマートシティの推進等に取り組んでいく。
【産業政策本部】