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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年7月8日 No.3506 冨田駐米大使との懇談会を開催

経団連のアメリカ委員会(早川茂委員長、植木義晴委員長、永野毅委員長)は6月11日、日米経済協議会(平野信行会長)との共催によりオンラインで懇談会を開催し、冨田浩司アメリカ駐箚特命全権大使から、バイデン大統領の政権運営の状況や外交方針、今後の日米関係などについて説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ バイデン大統領の政権運営

バイデン政権は、オバマ政権を経験したメンバーが内政・外交ともに政権の中枢を担っており、政権運営は上々の滑り出しである。

政権全体として優先順位が高いのは、新型コロナウイルスの克服と国内経済の再生といった内政問題の解決である。逆にそれ以外の部分は後回しの印象がある。社会給付、大型公共インフラ投資、法人税増税、労働組合の支援など、かなり伝統的でリベラルな政策となっている。バイデン政権にとって、中間選挙を視野に短期間に成果を上げ、支持基盤を固めることが最も重要度の高い事案となっている。

早々に1.9兆ドルにもおよぶ新型コロナ対策パッケージを成立させるとともに、ワクチン接種も成果を上げたことが奏功し、支持率も5割以上を常にキープしている。給付金により家計が潤い、経済も上向きになっているなど、完全にトンネルを抜けたわけではないが抜けつつある雰囲気にある。

■ バイデン政権の外交方針

バイデン政権が重視しているのは、トランプ政権時に傷ついた米国の国際的な威信の回復や国際協調路線への復帰である。欧州に対しては信頼関係を回復したいというメッセージを強く出している一方、中国との間では戦略的な競争関係の姿勢を明確にしている。ただし、中国には、トランプ政権時のように対立一辺倒ではなく、「対決」「競争」「協調」の側面が複雑に絡み合っている。中国と対峙していくためにも、米国自身が競争力を高めるとともに、同盟国・有志国と協力して臨む方針である。基本的に、民主党の伝統的なアジェンダである気候変動や人権を重視した外交政策を展開することになる。

■ 日米関係の現状と展望

バイデン政権の同盟国重視の姿勢のなかで、日米関係も非常に順調に進んでいる。菅義偉首相の訪米に先立ち、QUAD(日米豪印戦略対話)首脳会談や2+2(日米安全保障協議委員会)などを矢継ぎ早に開催したことで、ハイレベルな意思疎通が実現できた。菅首相が外国要人として初めてホワイトハウスに招かれたことからも、現政権の対日関係を重視する姿勢がひしひしと伝わってくる。首脳会談は一対一で行われ、政治家同士の心情や家族についての話をしながら、個人的な共感が育まれたと拝察している。対中問題についても、双方胸襟を開いて意見交換し、気候変動や競争力・強靱性強化といった共通の課題について協力していく方向性が確認された。今後、気候変動に関する具体的な解決策や先端技術の研究開発、サプライチェーン強靱化などについて、経済界を含めたさまざまなステークホルダーと意思疎通し、進めていく必要がある。日本政府としても、経済界との意思疎通がこれまで以上に重要になると考えており、オールジャパンで日米関係強化に取り組んでいきたい。

【国際経済本部】

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