経団連は7月14日、イノベーション委員会企画部会(江村克己部会長)をオンラインで開催し、内閣府の須藤亮政策参与SIPプログラム統括と阿蘇隆之審議官、倉田佳奈江企画官から、それぞれ次期SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)課題選定等の進め方と研究インテグリティの確保に関する対応方針について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 次期SIP課題候補検討について
SIPは、国民にとって真に解決が必要な社会課題、わが国の経済再生に寄与し世界を先導する課題に対し、基礎研究から社会実装までを見据え、産学官の連携により研究開発に取り組むプログラムである。2022年度までのSIP第2期に続き、次期SIPでは、第6期科学技術・イノベーション基本計画に基づき、21年末に向けて課題候補案を検討している。検討にあたり、関係府省庁や産業界からも意見を募集する。
次期SIPでは、社会インフラなど国や自治体主体で実装するⅠ型、協調領域におけるデータベースなど国研・企業等主体のⅡ型、企業主体のⅢ型に類型化し、各類型に沿った出口戦略目標を明確に設定する。さらに、研究開発の成果を高める観点から、少なくとも3カ月以上の研究開発計画立案期間を確保し、フィージビリティスタディーを実施する。
次期SIPの課題候補案を検討するにあたり、(1)5年後、10年後を見据え解決しようとする社会課題(2)実現すべき将来像(3)その将来像を実現するために実施したい研究開発内容――について、企業からの提案を募集している。
■ 研究インテグリティの確保にかかる対応方針
研究活動の国際化、オープン化が進展するなか、利益・責務相反や技術流出等への懸念が顕在化しており、米国等主要国では対応策が講じられてきている。
わが国もこうした新しいリスクに対応するとともに、必要な国際協力および国際交流を進めていくため、国際的に信頼性のある研究環境を構築することが不可欠になっている。
このような情勢を踏まえ、今年4月の統合イノベーション戦略推進会議において基本方針を定め、研究の健全性・公正性(研究インテグリティ)の自律的な確保を目指し、研究者・研究機関等に透明性と説明責任を果たすことの重要性について、理解を促すこととした。
さらに、競争的研究費に関するガイドラインを年内早期に改定すべく検討を進めている。ガイドラインには、研究者がファンディングエージェンシーに公的な研究資金を申請する際に、国外も含む外部からの支援や兼業等の情報の提出、所属機関への適切な報告の誓約を求めることなどを盛り込む方針である。関係者に対し説明会やセミナーを開催し、理解醸成を促していく。
【産業技術本部】