経団連は7月28日、サブサハラ地域委員会(大橋徹二委員長、加留部淳委員長)をオンラインで開催し、経済産業省通商政策局の山中修審議官から、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)に向けた今後のアフリカ開発の課題と展望について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ アフリカの概況
アフリカ大陸の面積は、米国・中国・インドの合計より広く、主要国のなかには、多くの人口と豊富な資源を背景に、ASEAN諸国の経済規模と肩を並べるところもある。今後、アフリカの人口は2050年に中国・インドを超え25億人(世界の4分の1超)に達すると予測され、消費市場としても注目される。近年では、情報通信産業が急速に発達し、携帯電話の保有率、インターネットの普及率が急伸しており、モバイルを利用したデジタル利活用サービスの拡大が見込まれる。
こうしたなか、中国は、アフリカにおいて、インフラや鉱物資源分野だけでなく、IT・通信・小売分野へ積極投資を展開し、インドやトルコも、伝統的に活動している欧米企業に続いて進出している。他方、日本とアフリカの経済関係は、輸出額や投資において停滞気味であり、日本企業の積極的な行動が期待される。
新型コロナウイルスについては、検査体制やワクチン確保といった課題がある。経済の落ち込みによる各国の財政状況の悪化も懸念される。
今年1月に運用が開始されたアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)によって、アフリカ経済統合への機運が高まっている。この協定に54カ国・地域が署名し、関税撤廃品目等の詳細は今後決定、公表される。
■ 進出日系企業の特徴
19年現在、在アフリカ日系企業の拠点総数は、約800に上る。南アフリカに、企業のサブサハラ拠点を設置することが多く、ケニア等の国が次のグループで続く。一方、モロッコ等の北アフリカでは、欧州市場への輸出をにらんで自動車関連産業が集積している。また、日本企業は、エネルギーや通信などインフラに加え、鉱物資源や、原油・天然ガス等の開発案件にも参画している。最近では、オフグリッド事業やモビリティー分野のスタートアップ投資も次々と実現している。
■ TICAD8に向けて
19年の横浜でのTICAD7の成果を踏まえ、経産省では、アフリカビジネス協議会、日本貿易振興機構(JETRO)のオンライン商談会、日本貿易保険(NEXI)のLEADイニシアティブなどさまざまな取り組みを進めている。また、今年12月には、日アフリカ官民経済フォーラムの開催を予定しており、TICAD8を視野に日アフリカ双方のビジネス促進と拡大を図っていきたい。
【国際協力本部】