経団連は10月12日、提言「公的統計の改善に向けた提言~行政記録情報の利活用等に向けて」を公表した。
公的統計は、政府のEBPM(証拠に基づく政策立案)を支えるとともに、民間企業が経営計画を策定するうえで重要な役割を果たしている。
先般、デジタル庁が発足し、社会全体でデータ共有・利活用の機運が高まるなか、公的統計においても、デジタルファーストやワンスオンリーの実現が求められる。また、民間での公的統計の利活用の環境整備や報告者負担の軽減も引き続き重要な取り組みである。
こうした認識のもと、デジタル庁および総務省等統計部局に対し、次の点を提言している。
■ デジタル庁に求められる役割~行政記録情報の利活用促進
事業者が統計調査以外に行政機関に提出する行政記録情報は、公的統計への活用が限定的であり、企業の報告者負担が大きい。
提言では、行政記録情報を活用していくために、デジタル庁がリーダーシップを発揮し、省庁横断的に以下の点に取り組むことを求めている。
(1)組織横断的なデータ共有の中核となるベース・レジストリの機能を活かし、公的統計と行政記録情報の接続が可能となるよう、事業所等の連携用符号(ID)および共通名簿の一体的な整備を行うべきである。
(2)報告者に行政記録情報を活用するメリットを感じてもらえる仕組み等を導入し、活用に対する報告者からの同意を得やすい仕組みを構築すべきである。
(3)秘匿性の高い行政記録情報の活用にあたっては、政府内の情報管理体制の厳格化等を行い、データ再利用・共有にかかる関連法の整備を検討すべきである。
■ 総務省等統計部局に求められる役割~費用対効果の高い公的統計の作成
会員企業に行ったアンケートでは、統計調査ごとの定義の相違やデータ提供環境への不満等、公的統計のさらなる改善や充実を求める声が多い。また、回答に負担を感じている企業や団体は引き続き多い。費用対効果の高い統計の作成に向けて、総務省等統計部局には以下の点を求めている。
(1)定期的に公的統計の利活用状況を公表し、利活用が極端に低い公的統計は、行政記録情報等の活用を検討しつつ、類似する統計調査ならびに調査項目の整理や廃止を検討すべきである。
(2)総務省が報告者の回答サポートとして実施している企業支援事業(プロファイリング活動)は、支援の対象企業からヒアリング等を行うことで、報告者側にとって利用しやすい体制を整備する必要がある。
【経済政策本部】