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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年10月28日 No.3519 わが国の海洋政策等 -第5回海洋開発推進委員会特別会合を開催

経団連は10月5日、海洋開発推進委員会(山内隆司委員長)の特別会合をオンラインで開催した。同会合は、海洋政策をめぐる産学官の連携を深めることを目的として、経済、学術、政府の関係者らが参加して毎年開催している。

5回目となる今回は、内閣府総合海洋政策推進事務局の平岡成哲事務局長から「わが国の海洋政策」について、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)革新的深海資源調査技術プログラムの石井正一ディレクターから「次期SIPへの提案」について、テクノオーシャン・ネットワーク(TON)の浦環理事長から海洋分野の国際会議である「テクノオーシャン2021」について、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ わが国の海洋政策(内閣府・平岡氏)

政府は、海洋基本法に基づき、総合海洋政策本部および参与会議を設置し、海洋政策を推進している。同参与会議が今年6月に公表した意見書では、わが国の海洋を取り巻く情勢の変化を受け、緊急に取り組むべき施策として、(1)東シナ海等における情勢変化への対応(2)カーボンニュートラル(CN)実現に向けた海洋の貢献――を挙げている。

海洋の安全保障の確保に向け、領海への侵入等、わが国周辺海域における重大事案の発生を防ぐべく海上保安の一層の強化を進めるとともに、海洋状況把握(MDA)の能力強化による情報収集・分析力の向上に努めている。また、領海や排他的経済水域(EEZ)の維持につながる特定有人国境離島地域の地域社会維持を支援している。

海洋分野がCNに貢献するため、「洋上風力産業ビジョン」において導入目標を示すとともに、再エネ海域利用法に基づき国内5カ所を促進区域に指定した。また、税制特例等の支援措置により、水素やアンモニアを燃料とするゼロエミッション船の技術開発を促進している。

現在、国民の海洋政策への関心が高いとはいえない。わが国が海から恩恵を受けていることや海は大きな可能性を秘めていることを発信していきたい。

■ 次期SIPへの提案(SIP・石井氏)

SIPは、政府の総合科学技術・イノベーション会議が府省・分野の枠を超えて予算を配分し、基礎研究から実用化・事業化までを見据えた研究開発の取り組みであり、2023年度から第3期のプログラムが始まる。現行の第2期SIP「革新的深海資源調査技術」プログラムの成果も踏まえ、次期SIPに以下を提案する。

まず、特定国に供給の大宗を依存するレアアース等の鉱物資源の確保は、わが国の戦略的自立性を高めるために重要であることから、南鳥島海域において鉱区設定ができるよう資源調査を完了するとともに、鉱物資源の経済的な生産システムの開発・実証を進めたい。南鳥島沖の玄武岩海山を利用した大規模CO2貯留・固定化に関する基礎調査研究を進め、CNに貢献したい。年末に予定される次期SIP課題候補決定に向けて産業界の支援をお願いする。

■ テクノオーシャン2021(TON・浦氏)

TONは、海洋科学技術の研究開発や海事産業の振興、次世代人材の育成、産学官分野横断でのシーズ・ニーズの掘り起こしによる新たなイノベーションの創出を目指し、隔年で国際コンベンション「テクノオーシャン」を開催している。

今年12月9~11日に神戸国際展示場にて開催する「テクノオーシャン2021」では、60を超える海洋関係企業・研究機関等による展示のほか、研究者や企業関係者によるCN、海洋資源開発、海中ロボット、養殖、洋上風力発電、人材育成をテーマとするパネルディスカッションを予定している。詳細はウェブサイト(※)を参照してほしい。皆さまの参加をお待ちしている。

※ テクノオーシャン2021
https://www.techno-ocean2021.jp/

【産業政策本部】

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