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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年10月28日 No.3519 ロシア政治経済の現状と展望 -上月駐ロシア日本大使と懇談/日本ロシア経済委員会

上月大使(右)と國分委員長

経団連の日本ロシア経済委員会(國分文也委員長)は10月7日、上月豊久駐ロシア特命全権大使との懇談会をオンラインで開催し、ロシアの政治経済の現状と展望について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ ロシア経済の現状と課題

ビジネス環境の改善について、今月、在ロシア日本大使館とロシア経済発展省を中心としたロシア側関連省庁との間で「貿易投資環境改善にかかる制度的問題に関する作業部会」を開催し、具体的な問題解決に向けて議論する予定である。水際対策を含め、経団連のアンケート結果での提案についても同省と相談したい。

コロナ禍の影響はあったが、現状、ロシア経済は安定している。過去にハイパーインフレを経験したロシアは、財政のバッファーとして、約14兆ルーブルに達する潤沢な国民福祉基金を有しており、社会政策や経済対策を重視した予算を組んでいる。他方、保守的な政策や市場介入の結果、投資拡大が進まないことが課題である。

■ 今後の注目分野

今後のロシア経済の注目分野は、インフラ整備、医療、農業、観光、グリーンであり、日露協力が具体的に進展している案件も複数ある。特に、水素・アンモニアの製造技術に優れる日本と、豊富な天然資源を有するロシアとの間では、グリーン分野における協力の可能性が広がっている。

■ ロシア政治と日露関係

今年9月のロシア下院選挙でプーチン大統領は「アメ」と「ムチ」の政策を駆使し、与党統一ロシアが勝利した。今後は2024年の大統領選挙に向けた情勢が注目される。プーチン大統領にとっては、どのようなかたちで歴史に名を残すかが重要になってくる。

日本はロシアの隣国として、幅広い分野で経済協力関係を発展させていく方針に変わりはない。

◇◇◇

当日は、説明に先立ち、國分委員長から、経団連が今年春に実施した「ロシアのビジネス環境等に関するアンケート」の結果について報告した。コロナ禍においても日本企業はロシアビジネスに高い関心を持っていること、法制度等の透明性・予見可能性の確保や違法輸入品の取り締まりの強化を求めていること、出張者の出入国制限がビジネス上の障害となっていること等、ポイントを説明。そのうえで、上月大使に対し、日本の水際対策の柔軟な対応を含め、ビジネス上の問題解決に向けた協力を求めた。

【国際経済本部】

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