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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年10月28日 No.3519 介護におけるテクノロジーの活用 -イノベーション委員会ヘルステック戦略検討会

わが国は、将来の要介護認定者数の増加に対応するため、介護職員を大幅に増員する必要がある。厚生労働省の試算によると、2040年度までに、19年度時点と比べて約69万人の介護職員を追加で確保しなければならない。生産年齢人口が減少するなかで非常に厳しい状況にある。この問題の解決策として、テクノロジーを活用した介護業務の効率化、さまざまな医療・介護データを活用した重症化予防や自立支援介護が注目されている。

そこで経団連のイノベーション委員会ヘルステック戦略検討会は10月8日、オンラインで会合を開催し、SOMPOケアの岩本隆博取締役執行役員CDIOと、パナソニックの山岡勝スマートエイジングプロジェクトリーダーから、介護におけるテクノロジー活用についてそれぞれ説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ SOMPOケア・岩本氏

岩本氏

介護の現場では、テクノロジーの活用によって、介助業務の負担軽減や、業務記録など間接業務の効率化に取り組んでいる。デジタル化によって得られたさまざまなデータを集約・分析することで、利用者ごとに最適な介護サービスを提供することを目指している。必要とされる介護職員数の確保が難しい状況において、安心・安全・高品質な介護を実現するためには、テクノロジーやデータを駆使し、人ができることの範囲を拡大していくことが重要である。デジタルテクノロジーのさらなる活用に向けて、デバイスの安全基準や性能基準の標準化、ならびに、デバイスの出力仕様の標準化が必要と考える。リアルデータの活用推進に向けて、(1)科学的介護情報システム(LIFE)の法人単位のデータ提出・フィードバック利用の実現(2)個人健康記録(PHR)を通じて医療・介護のさまざまなデータをひも付けし、個々人に適した介護サービスを提供できる仕組み――が必要である。また、より高品質な介護の実現のためには、テクノロジー活用を積極的に評価する新たな介護品質評価基準の策定や、介護施設人員配置基準(入所者数3に対して介護・看護職員数1以上)の見直しも検討すべきである。

■ パナソニック・山岡氏

山岡氏

AI・センサー技術の活用により、介護施設入居者の安否や睡眠状態を遠隔で確認することが可能となる。従来の介護職員による定時巡視と比較し、夜間巡視時間を90%以上削減できることが示された。夜間に突発的に発生するケアに迅速に対応できるようになり、介護職員の心理的負担の軽減にもつながっている。さらに、見守りセンサーや介護記録、ナースコール、バイタル測定といった一連の介護業務支援サービスを連携・統合し、データを一元管理するための「介護業務支援プラットフォーム」の構築を目指す。利用者サービスの質を低下させず、職員の負担も増やさずに生産性向上を図ることで、介護現場の「新しい働き方」を示したい。データ活用の取り組みとしては、要介護者のバイタルに加えて食事や排泄、睡眠などのデータから健康異常を早期発見するモデルの構築を進める。自立支援介護において、介護職員の知識・経験に基づくリハビリテーション等の技術をIoT・AIにより分析し一般化する試みも進めている。

【産業技術本部】

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