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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年11月4日 No.3520 サステナビリティ情報開示をめぐる国内外の動向 -企業会計基準委員会(ASBJ)と金融庁から聴く/金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォース

経団連は10月13日、金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォースをオンラインで開催し、ASBJの小賀坂敦委員長から「サステナビリティ報告に関するIFRS財団の動向」について、金融庁の廣川斉企業開示課長から「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)の議論の状況」について、それぞれ説明を聴き意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ サステナビリティ報告に関するIFRS財団の動向(小賀坂氏)

国際会計基準審議会(IASB)の母体であるIFRS財団は、国際的なサステナビリティ基準を開発する「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)」の設置を11月のCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)で発表すべく、作業を加速させている。ISSBの設置に向け、IFRS財団の定款改正や、ISSBの議長・副議長の公募を進めているほか、IFRS財団内に設置されたワーキング・グループにおいて、ISSBがサステナビリティ基準を開発するための準備を行っている。

わが国の主要な市場関係者で構成されるIFRS対応方針協議会(注1)は、IFRS財団に対して、人的・技術的貢献に加え、資金的に貢献する用意がある旨の書簡を8月末に送った。また、ASBJの母体である財務会計基準機構(FASF)では、FASFの事業内容に、サステナビリティ基準の調査研究および国際的なサステナビリティ基準の開発への貢献を加えるべく、定款変更を申請している(注2)

■ DWGの状況(廣川氏)

近年、サステナビリティ重視の企業経営が求められるなど、企業を取り巻く経済社会情勢に変化がみられる。こうした変化を踏まえ、DWGでは、企業と投資家との間の建設的な対話に資する企業情報開示のあり方について、検討を開始した。

第1回DWGでは、今後取り扱うテーマを議論したところ、気候変動対応を中心とするサステナビリティ情報の有価証券報告書における開示が重要であるとの意見が大勢であった。そこで、第2回DWGでは、気候変動対応に関する開示について検討した。

大きな方向性として、有価証券報告書では、投資家の投資判断にとって重要な情報に絞って開示を求めることで概ね意見が収斂した。具体的には、国際的な気候変動開示の枠組みであるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)で求められる項目のうち、「ガバナンス」「リスク管理」の開示をすべての企業に求める一方、「戦略」「指標と目標」は、企業にとって気候変動がマテリアル(重要)な場合に開示を求めるべきとの意見である。

さらに、ISSBの基準に対して、「わが国として意見発信を行う体制を整備すべきだ」「わが国のサステナビリティ基準開発のあり方を検討すべきだ」といった意見も出された。今後のDWGで検討を深めていく。

◇◇◇

会合では、経団連の提言「国際的な意見発信や国内基準の開発を担うサステナビリティ基準委員会(仮称)の設立を求める(案)」を審議した。

(注1)FASF、ASBJ、経団連、日本公認会計士協会、日本取引所グループ/東京証券取引所、日本証券アナリスト協会、金融庁、経済産業省、法務省で構成

(注2)その後、内閣府により、定款変更の申請が認められた

【経済基盤本部】

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