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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年11月11日 No.3521 多彩な魅力を備えるメキシコ経済 -プリーア駐日メキシコ大使から日本企業のビジネスチャンス等について聴く

経団連の日本メキシコ経済委員会(片野坂真哉委員長、神子柴寿昭委員長)は10月19日、メルバ・プリーア駐日メキシコ大使とアドルフォ・ラボルデ公使との懇談会をオンラインで開催した。概要は次のとおり。

■ 広汎な経済連携ネットワークを活用し、日本企業はさらなる対墨投資を
(プリーア大使)

プリーア大使

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という困難な状況にあっても、日墨間の貿易・投資は力強さをみせ、両国の経済関係が強固であることをあらためて示した。感染が拡大したアジアからの半導体の調達不足や米中貿易摩擦など昨今の状況に鑑みると、生産拠点の多様化が重要である。メキシコは、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)やCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)等の広範な経済連携ネットワークを構築しており、日本企業が投資するメリットは、一層高まっている。

また、メキシコに、リチウムや金、銀、銅など製造業に欠かせない鉱物資源が豊富に賦存していることも、大きな魅力である。従来、多くの日本企業が自動車産業を中心にメキシコに投資してきているが、今後はエレクトロニクス、鉄鋼、化学、食品産業などの分野における投資も歓迎する。

■ 多様な産業分野で日本企業の事業展開を期待
(ラボルデ公使)

ラボルデ公使

豊富な労働力を有するメキシコは、世界第15位の経済規模を誇り、世界第9位のFDI(海外直接投資)受け入れ国である。対メキシコ投資額をみると、最大は米国で、以下、中国、香港、シンガポール、インドと続く。産業分野別では、製造業、金融サービス、貿易、鉱業、マスメディア、建設などへの投資が活発である。

メキシコは、これまで50カ国を対象に14のFTAを締結するなど、貿易の自由化を積極的に推進してきた。例えば、日本とのEPA、EUとのFTA、CPTPP、そして最も重要な枠組みが昨年7月に発効したUSMCAである。また、中南米の太平洋側諸国の経済統合体である太平洋同盟のメンバー国でもある。こうしたプラットフォームを通じて、メキシコに拠点を置く企業は、中南米、北米への輸出入に関して多くのメリットを享受できる。

現在、多くの企業は、中国への投資に関心を向けているが、物流や労働コスト、地政的な観点から、メキシコは有望な投資先であると強調したい。また、グローバル・バリューチェーンの多様化やコスト効率という観点からも、メキシコは優位性を持つ。エネルギー、IT、農産品、観光などさまざまな産業分野で投資機会を提供しており、日本企業による事業展開を期待している。

◇◇◇

説明後、USMCAや現政権のエネルギー政策、治安改善の取り組み等をめぐり、活発に議論した。

【国際協力本部】

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