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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年11月18日 No.3522 データ流通・活用に関する考え方 -デジタルエコノミー推進委員会

経団連は10月28日、デジタルエコノミー推進委員会(篠原弘道委員長、井阪隆一委員長)と企画部会(浦川伸一部会長)の合同会合をオンラインで開催し、東京大学大学院情報学環の越塚登教授からデータ流通・活用に関する考え方について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ これからの時代のデータプラットフォーム

1990年にインターネットが商用化された後、2000年代からはGAFAを中心とするプラットフォーマーが経済を主導する時代となり、インターネットエコノミーはビジネス志向で競争的となった。昨年ごろからは、データ共有プラットフォームの国際的主導権を争奪する時代に移ったと認識している。世界各国の政府は、それぞれが掲げるコンセプトのもと、公共性があり誰もが安心してデータを利用・共有できるプラットフォームづくりを行っている。

このようなプラットフォームから成るグローバルデータ空間は、データに関する規範・ガバナンス・信頼性のほか、イノベーションの民主化といった価値も実現できる。さらに、AIやIoTなどの技術をデータに適用することで、Society 5.0の実現に貢献することができる。

■ わが国のデータプラットフォームの整備動向

わが国の包括的データ戦略には、新しいデータプラットフォーム「DATA-EX」の整備が盛り込まれている。約150の組織・団体が加入するDSA(注)がDATA-EXの整備に取り組んでおり、データ流通の全体構造を示すアーキテクチャーに基づいて個々の課題を洗い出し、どのような施策が必要か具体的に検討している。

また、DFFTのコンセプトのもとデータ流通基盤を実現するためには、プラットフォームだけでなく、ID、トラスト基盤、デジタル通貨、5G、6G、データ取引市場などを整備する必要がある。データガバナンスに関するルールについては、策定時期において海外での動きに後れを取らないようにすることが重要である。

■ データに関するルールの整備

DSAは、業種・個人を越えてデータを共有できるデータ流通基盤を構築することで、イノベーションを起こすことのできる社会の実現を目指している。しかし、現在、企業や個人がデータを囲い込む「データのサイロ化」が起こっている状況にある。

企業や個人がデータを囲い込む理由として、データの不正コピーや不正流通、不正改ざんなどへの懸念を持っていることが挙げられる。データ共有を進めるうえでは、データの利活用に関するルールを具体的に検討する必要がある。こうしたことから、政府においては、プラットフォームの運営者や利用者、データ提供者などを対象としたデータ取り扱い一般に関する共通ルールや、データ流通を促進して阻害要因を払拭するためのルールの検討が進められている。

(注)Data Society Alliance、データ社会推進協議会

【産業技術本部】

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