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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年11月25日 No.3523 OECD、BIACと国際課税に関する会議を開催 -デジタル経済、環境等の国際課税の諸課題を議論

経団連の税制委員会(宮永俊一委員長、柿木厚司委員長)と21世紀政策研究所(十倉雅和会長)は11月8、9の両日、OECDおよびOECDに対する民間経済界の諮問機関であるBusiness at OECD(BIAC)と国際課税に関する会議をオンラインで開催した。同会議は、OECD・G20によるBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを契機として2015年に始まり、今回で第7回となる。

青山慶二21世紀政策研究所研究主幹、武内良樹OECD事務次長、パスカル・サンタマンOECD租税政策・税務行政センター局長、武藤功哉財務省主税局国際租税総括官、アラン・マクリーンBIAC税制・財政委員会次期委員長をはじめ、8カ国の税務当局関係者および主要多国籍企業関係者が登壇し、デジタル経済や環境等の諸課題についてパネルディスカッションを行った。会員企業から300名余りが参加した。

OECD・G20はこれまで、経済のデジタル化に対応した新たな国際課税ルールづくりを進めてきた。21年10月には、136の国・地域がルールの骨格について「最終合意」に達した。当該ルールは、市場国への新たな課税権の配分等を扱う第1の柱と、国際的に統一の最低税率(15%)を設定する第2の柱から構成される。今後、第1、2の柱ともに23年の実施に向けて、制度の詳細設計等が予定されるなか、わが国企業・経済界のスタンスを発信した。

第1の柱に関するパネルディスカッションでは、OECDが、市場国に配分すべき利益(利益A)を生み出す多国籍企業の判定方法や、利益Aの算出方法等の制度の概要を紹介。そのうえで、22年早期に利益Aのさらなる詳細設計を含むモデルルールと、多国間条約の条文や注釈書等を完成させる予定であると説明した。これに対して、日本企業からは、最終売上地の判定に際した納税者側の事務負担軽減への配慮や、制度の施行に際した適切な情報収集・申告・納税に向けて、納税者側の十分な準備期間の付与等を求める意見が出された。

第2の柱に関するパネルディスカッションでは、OECDが、最低税率15%のもとでの国際的な最低課税の確保に向けた所得合算ルール(IIR)および軽課税支払いルール(UTPR)等について、その概要を紹介。そのうえで、21年11月末にも第2の柱に関するモデルルール、22年末には実施にかかるフレームワークが策定される予定であると説明した。これに対して、日本企業からは、IIR等の実施に要する各種事務負担の軽減が重要であり、既存の本邦外国子会社合算税制(CFC税制)の抜本的な簡素化が重要であるなどの意見があった。

また、新たな議題として、環境と税が取り上げられた。OECDから、カーボンプライシングをめぐるこれまでの取り組み状況について説明があった。これを受けて、日本企業からは、「経済と環境の好循環」の創出に向けて、税制の観点から、設備投資や、研究開発投資等を通じた企業の取り組みを後押しする制度を構築すべき等の意見が出された。

会議ではこのほか、BEPS対応措置の実施状況に関するパネルディスカッション等が行われた。経団連は、今後の第1、2の柱の制度化に際し、日本企業の問題意識や要望が十分に反映されるように、引き続きBIACとの連携も図りつつ、OECDおよびわが国の財務省との対話を継続・強化していく。

【経済基盤本部】

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