経団連は11月10日、サブサハラ地域委員会企画部会(河村肇部会長)をオンラインで開催し、国連開発計画(UNDP)マラウイ事務所の小松原茂樹常駐代表から、アフリカの現状と将来の展望について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ アフリカの全土で事業を展開
UNDPは開発援助に特化した国連最大の専門機関で、現在170カ国で開発を支援している。主な活動は、貧困の撲滅、持続可能な成長のための構造改革、気候変動や危機への強靱性強化である。アフリカでは、すべての国に事務所を置き、それぞれの開発ニーズに合わせた支援プログラムを策定・実施している。アフリカでの年間事業予算は約15億ドルと、UNDP総事業費の3分の1を占める。
■ マラウイにおける国連およびUNDPの活動
マラウイには国連11機関が常駐しており、そのうちUNDPは、職員約130名により、年間4000万ドル規模の支援活動に取り組んでいる。主にナショナルIDプロジェクトをはじめとするデジタル化、起業家、気候変動等への強靱化等であり、日本政府から資金を得て、災害復興(約2.5億円)や新型コロナウイルス対策(約1.5億円)のプロジェクトも進行中である。
■ TICAD8に向けて
1993年に始まったTICAD(アフリカ開発会議)は、回を重ねるごとにアフリカ開発を先取りするかたちで、アジェンダを進化させてきた。大きくいえば当初掲げた開発にビジネスが加わり、質量ともに着実に発展してきている。来年に控えるTICAD8では、従来の「開発・援助のためのビジネス」から、「ビジネスを伸ばす開発・援助」への転換がカギとなろう。コロナ危機はアフリカに深刻な影響を及ぼす一方で、新たなビジネスチャンスも創出している。従来の「援助」に加え、グリーンやデジタル、人材など、将来を見越したアフリカへの「投資」が一層必要である。
■ 国際機関との連携の可能性
国連全体としてグローバルな調達額は年間200億ドルを超え、年々拡大している。ヘルス分野(55億ドル)が最大で、建設・エンジニアリング(30億ドル)と続く。TICADには100以上の国際機関が参加することから、情報収集やネットワーキングの機会として活用することも一案である。
【国際協力本部】