経団連(十倉雅和会長)は11月15日、東京・大手町の経団連会館で萩生田光一経済産業大臣をはじめ副大臣、大臣政務官ら経済産業省幹部との懇談会を開催した。経団連からは十倉会長、古賀信行審議員会議長をはじめ副会長ら15名が出席。新産業政策、エネルギー、通商・経済安全保障、スタートアップ振興などについて幅広く意見交換した。
冒頭、十倉会長は、目下のわが国の最重要課題はウィズコロナにおける社会経済活動の活性化であると指摘。そのうえで、中長期的には内外に山積する課題に速やかに取り組むことが重要とし、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するための抜本的な規制改革、カーボンニュートラルの実現に向けた実効性のあるエネルギー政策、激動する国際情勢に対応した通商・経済安全保障政策、新たなビジネスと雇用を創出するスタートアップ振興などの課題を挙げ、「いずれも経済の構造転換を促すとともに国民生活を左右する重要な課題であり、経産省のリーダーシップに期待したい」と述べた。
萩生田大臣は、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業やイベント再開への支援、経済活動維持のカギとなるワクチン開発・生産体制強化に引き続き取り組むとした。また、「分配の原資となる力強い成長を実現するために、デジタル、グリーン、経済安全保障といった社会課題の解決に向け、企業と政府が共に大胆に投資し、官民一体でイノベーションを進めていくことが極めて重要」と発言。さらに、成長と分配の好循環による新しい資本主義に向けて、生産性向上と賃金引き上げの好循環が必要であるとして、経済界の協力に期待を示した。経産省としても、従業員一人ひとりの平均給与の引き上げを評価し、賃金引き上げに積極的な企業に対する税額控除率を大胆に引き上げるなど、制度の抜本的な強化を検討するとした。
加えて、中小企業の賃金引き上げやサプライチェーンの持続性を保つためには取引の適正化を進めていく必要があるとの認識を示し、経団連に対し「パートナーシップ構築宣言」へのさらなる協力を呼びかけた。
最後に、人口減少の加速するわが国が持続的な成長を実現するためには、イノベーションによる生産性向上とその担い手となる創造的な人材の育成がカギであるとし、「自身の2年間の文部科学大臣としての経験を活かし、人を育てるための政策をしっかりと検討する」と意欲を示した。
【産業政策本部】