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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年12月9日 No.3525 農業の成長産業化に向けた先端技術の研究開発と輸出推進 -農業活性化委員会

経団連は11月10日、農業活性化委員会(佐藤康博委員長、磯崎功典委員長)をオンラインで開催した。同委員会は、農業の成長産業化に向けた検討を進めている。東京農工大学の千葉一裕学長から、先端技術を活用した持続可能な農業について、また農林水産省輸出・国際局の渡邉洋一局長から、農林水産物・食品の輸出拡大策についてそれぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 研究者と企業の連携で自然と共生した持続可能な農業を実現(千葉氏)

農林業その他土地利用に伴う温室効果ガスは、世界の総排出量の4分の1を占めている。また、2050年には、世界人口が10年の1.3倍に達すると見込まれており、食料需要の拡大は必至である。こうしたなか、環境への配慮と生産方式等の見直しによる生産性向上との両立を図り、持続可能な農業を実現することが重要になる。

今後の食の確保において考慮すべきことは多岐にわたるが、科学的な根拠のもと、社会的な波及力と持続性を有する事業が必要である。私自身もそのような視点から、農水省の「ムーンショット型農林水産研究開発事業」において、50年のあるべき姿を目指し、各プロジェクトのマネジメントを行っている。

とりわけ、健康増進という観点では、タンパク質が重要であり、そのキーとなるのは昆虫食と考えている。ただし、新しい取り組みであるため、価値観、文化的な変化まで考えながら、おいしく、楽しんで食べられるようになるかが課題である。

世界の90億人がおいしく食べ続けられる社会の達成は、一見すると壮大で困難に思えるが、月面着陸をはじめ大きなチャレンジを達成してきた人類には可能と考える。そのためには、産学官連携が不可欠である。企業には、ビジネス拡大の可能性も認識し、研究機関と連携して新規事業に取り組んでもらいたい。

■ 農林水産物・食品の輸出拡大に向けた政府の取り組み(渡邉氏)

政府は「食料・農業・農村基本計画」(20年3月閣議決定)において、30年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円にする目標を掲げ、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」(20年12月農林水産業・地域の活力創造本部決定)を策定した。

同戦略では、海外市場の需要に応じて生産・販売するマーケットインの体制を整備するため、3つの基本的な方針を示している。第1は日本の強みを最大限発揮することである。牛肉やコメ等輸出拡大余地の大きい27品目を輸出重点品目として選定した。第2は事業者への支援である。改正投資円滑化法に基づいて事業者へのリスクマネーの供給を後押しする。第3は輸出障害の克服である。輸入規制の緩和等を外国政府に働きかけている。今年5月には、フォローアップを公表し、事業者へのヒアリングで明らかになった新たな課題等について、具体的な対応策を取りまとめた。

こうした取り組みもあって、わが国の農林水産物・食品の輸出は、アジアや米国を中心に伸びており、今年の輸出額は初めて1兆円に達する見込みである。

今後は、品目団体の組織化等に向けて、輸出促進法の改正を検討している。30年に輸出額5兆円という目標の達成に向けて引き続き注力したい。

【産業政策本部】

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