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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年12月9日 No.3525 COP26の成果と今後の見通し -環境安全委員会国際環境戦略ワーキング・グループ

経団連の環境安全委員会国際環境戦略ワーキング・グループ(手塚宏之座長)は11月19日、オンラインで会合を開催し、経済産業省の川口征洋地球環境対策室長と長田稔秋地球環境連携室長から、10月31日から11月13日の約2週間にわたり英国グラスゴーで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)の成果と今後の見通しについて、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 交渉の成果

COP26では、COP24から継続議題となっていたパリ協定第6条における「市場メカニズム」の実施指針等の重要議題について合意に至った。これにより、パリ協定のルールブックが完成したことは、非常に大きな成果といえる。市場メカニズムの交渉においては、国際的に移転される温室効果ガス削減量の二重計上防止に関し、日本の提案が打開策となりルールに盛り込まれるなど、合意に大きく貢献した。

また、各国が策定するNDC(温室効果ガス削減目標)について、2025年に35年目標、30年に40年目標を国連に提出することの奨励(「コモンタイムフレーム」)や、各国の温室効果ガス排出量や削減努力に関する報告様式(「透明性枠組み」)なども決定した。

さらに、議題全体にかかわる決定として、「排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の逓減を含む取り組みを加速する」こととされた。当初は「削減」(phase out)という言葉が使われていたが、インドの提案により「逓減」(phase down)との表現に改められた。

■ 交渉以外の動き

COP26期間中、機運醸成に向けたさまざまな会議やイベントが開催された。11月1、2の両日に開催された「世界リーダーズ・サミット」には、130カ国以上の首脳が参加し、気候変動対策に関する各国の取り組みを説明した。岸田文雄首相は、アジアの脱炭素化支援に向けた事業展開や資金支援の枠組みの立ち上げ等を表明した。

このほか、有志国による各種イベントや、BizMEF(エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国ビジネスフォーラム)主催の官民対話なども開催された。

■ 今後の見通し

22年11月にエジプトで開催予定のCOP27では、資金支援や適応に焦点が当たると考えられる。今年ほどの世界的な野心向上の機運醸成があるかは不透明である。むしろ、EUを中心に、国境調整措置など気候変動対策に通商政策を絡めた議論が活発化する可能性がある。日本として、国際ルール形成を主導すべく、積極的に提案・関与していく。

【環境エネルギー本部】

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