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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年2月17日 No.3533 改正公益通報者保護法・事業者の「体制整備」に関するセミナー

経団連は1月26日、改正公益通報者保護法を踏まえた事業者の「体制整備」に関するセミナーを消費者庁と共催した。消費者庁参事官室が「公益通報者保護法に基づく指針の解説」(指針の解説)について要点を説明した。また、より実務的な観点で事業者が体制整備を進める一助となるように、外部講師(弁護士法人ほくと総合法律事務所、のぞみ総合法律事務所、堂島法律事務所)が、内部通報に関する社内規程例を用いて説明した。経団連会員企業・団体から約500名がオンラインで参加した。概要は次のとおり。

■ 消費者庁説明

改正公益通報者保護法が2022年6月1日に施行される。同改正によって常時使用する労働者の数が300人を超える事業者は、公益通報対応業務従事者を定める義務(改正法第11条第1項)、従業員等からの公益通報(内部公益通報)に適切に対応する体制の整備その他の必要な措置をとる義務(同条2項)が課される。これらの規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(指針)が昨年8月に公表され、事業者が指針に沿った対応をとるにあたり参考となる考え方や具体例を記載したものが「指針の解説」になる。指針の解説には指針を遵守するための考え方や具体例が記載されている。なお、事業者が具体例をそのまま採用しない場合であっても、事業者の状況等に即して類似または同様の措置を講じる等、適切な対応を行っていれば、内部公益通報対応体制整備義務は遵守されているといえる。キーメッセージとして、各事業者は自社の状況等(規模・組織形態・業態等)を考慮のうえ、主体的に検討し、事業者の実情に即した内部公益通報対応体制を整備・運営することが必要となる。

「従事者として定めなければならない者の範囲(指針の解説第3-1)」について、事業者は、公益通報対応業務従事者が公益通報者を特定させる事項の秘匿性を確保し、公益通報対応業務のいずれの段階においても公益通報者を特定させる事項が漏れることを防ぐ必要がある。それと同時に、公益通報対応業務従事者には刑事罰で担保された守秘義務が課される(改正法第12条、第21条)ことから、事業者には当該従事者が過度に萎縮せず、公益通報に対して、調査・是正措置を講ずることができる体制の構築が求められる。そのために、どのような業務が「公益通報対応業務」に該当し、そのなかで守秘しなければならない「公益通報者を特定させる事項」がどのような情報になるのか、考え方を理解しておくことが肝要である。

■ 外部講師説明

指針の解説第3-1に関して、事業者は、(1)内部公益通報受付窓口において受け付ける(2)内部公益通報に関して(3)公益通報対応業務を行う者であり、かつ、(4)当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として指定しなければならない。これら(1)~(4)の要件のすべてを満たす者を従事者として指定する必要がある。同じく、指針の解説には、むやみに従事者を広げて定める必要がない趣旨が記載されているが、従事者として指定する必要がある上記の要件には、判断に迷うケースが想定されるため、あらかじめ広めに従事者を指定する工夫も場合によってはあり得る。そのため、「公益通報者を特定させる事項」の範囲外共有を防止する体制整備がやはり重要となる。

外部講師が解説に用いた「内部通報に関する規程例」は、内部公益通報制度を自社に導入するにあたりどのような社内規程を制定すればよいのかわからないという事業者の声を踏まえ、同セミナーにおける説明の補助資料として作成したものである。消費者庁ウェブサイトで公表しているため、参照・活用してほしい。なお、消費者庁として公式に認定したものではなく、事業者による独自の定めを妨げるものではないことに留意が必要である。

【経済基盤本部】

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