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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年2月17日 No.3533 全米各州探訪(14)~ノースダコタ州、サウスダコタ州、ユタ州 -新・ワシントンレポート<14>

本連載では、米国をより深く知るため、広大な米国を構成する50州+1特別区の情報を順次ご紹介します。

40.ノースダコタ州

ルイジアナ買収によって米国領となった領域の北部に位置する。前身となるダコタ準州は1861年に設立され、68年に概ね現在の南北ダコタ州の範囲となった。一つの準州とされたものの、当時の鉄道インフラの影響もあり、北部はミネソタ州ミネアポリス、南部はネブラスカ州オマハ等、それぞれ準州外との経済交流を深めた一方で、準州内の南北交流は乏しかった。準州の首都移転をめぐる南北の争い等もあり、最終的に89年、北部・南部のそれぞれが、独立した州として連邦に加盟した。

なお、両州が連邦加盟順を争ったことを受け、時のハリソン大統領は加盟承認の書面をシャッフルし、内容を隠した状態で署名した。そのため両州の正確な加盟順は不明だが、便宜上、アルファベット順で先に来るノースダコタ州が39番目、サウスダコタ州が40番目とされることが多い。

小麦の生産をはじめ、農業が盛んな州である。食品加工業や農機等の機械製造業も発展している。ノースダコタ大学は全米屈指の航空学部を有し、パイロット養成で日本の大学とも提携している。また、全米唯一の州有銀行であるノースダコタ銀行がある。

シェールオイルに恵まれており、現在は全米2位の原油産出州である。また、州内に世界最大の褐炭鉱床を有する。こうした地質的特徴から、米国の排出量50年分に相当するCO2を地下貯留可能とされている。州はCCS(二酸化炭素回収・貯留)の活用等による2030年までのカーボンニュートラル実現を目標に掲げている。

41.サウスダコタ州

サウスダコタ州をモチーフとした25セント
硬貨(2006年発行)は、ラシュモア山に彫
られた有名なモニュメント(ワシントン、
ジェファーソン、T・ルーズベルト、
リンカーンの巨大彫刻)をかたどっている

人口・人口密度とも50州中46位の州。人口47位のノースダコタ州と並び、州全体で一つの連邦下院選挙区を構成する6州の一つである。

農業が経済の重要な柱となっており、トウモロコシ、大豆のほか、畜産も盛んである。

加えて、州西部には国立・州立公園が点在し、州内第2の都市ラピッドシティーを中心に観光業が栄えている。なかでもラシュモア山国立記念公園は、州の公式ニックネーム(「Mount Rushmore State」)にもなっている重要観光資源である。

政治的には共和党が強く、戦後の大統領選で民主党候補が勝利したのは1回(1964年のジョンソン大統領)だけである。一方で、上院議員選では両党が競っており、50年代以来、同一政党の後継者に議席を引き継いだ例がない。同州選出の上院議員のなかには、72年の大統領候補指名を受けたジョージ・マクガバン氏や院内総務を務めたトム・ダシュル氏などの大物民主党議員もいる。2010年以降は、大統領選、連邦上下院選、州知事選のすべてで共和党が連勝している。現職のジョン・スーン上院議員はマコーネル上院共和党院内総務の有力な後継候補である。

42.ユタ州

1896年に連邦に加盟した45番目の州。この地域が米国領に組み入れられたのは米墨戦争後の48年だが、それに先立つ47年、中西部での宗教対立から逃れたモルモン教徒がソルトレークシティーに入植したことが州の興りである。

今日でも州人口の約6割がキリスト教の一派であるモルモン教を信仰する。飲酒・喫煙を禁じるなど道徳的規範を重視している。

宗教的価値観に支えられた保守的な社会を背景に、政治面では共和党が優勢である。ただし、連邦上院議員にティーパーティー系新興保守のマイク・リー氏と伝統的保守のミット・ロムニー氏がそれぞれ選ばれているなど、共和党の幅広い支持基盤が共存している様子もうかがえる。

経済面では、鉱業が盛んな州であり、銅、金のほか、米国内で唯一ベリリウムとマグネシウムを産出する。石油、石炭、天然ガスも産出する。

牛・羊を中心とする畜産業や、シリコンバレーからの移転もみられるハイテク産業なども経済の柱である。

【米国事務所】

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