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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年3月24日 No.3538 ウイグル強制労働防止法の概要と日本企業への影響

中島氏

平家氏

経団連は3月2日、オンラインで会合を開催し、西村あさひ法律事務所パートナーの中島和穂弁護士ならびに平家正博弁護士から、米国のウイグル強制労働防止法の概要と日本企業への影響について聴いた。概要は次のとおり。

■ 背景

米国は従来から、関税法307条に基づき、強制労働により製造されたことが疑われる物品について、貨物引渡保留命令(WRO)を発し、輸入を制限してきた。新疆ウイグル自治区における強制労働に対する批判が高まるなか、2020年以降、ウイグル産の綿製品やトマト製品等に対する輸入規制など、計10件のウイグル関連のWROが発せられてきた。

■ ウイグル強制労働防止法の概要

21年12月23日に成立したウイグル強制労働防止法は、「輸入禁止の推定(3条)」が規定される点で、従来の規制を大幅に強化する内容となっている。具体的には、新疆ウイグル自治区で製造等された製品や、新疆ウイグルの強制労働への関与を理由として今後米国政府が指定する事業者の製品などは、すべて強制労働によって製造されたと推定し、輸入を禁止することを定める。この推定を覆し、輸入禁止を避けるには、2つの要件を満たす必要がある。第一に、強制労働タスクフォース(※)が策定するガイダンスを遵守するとともに、対象製品が強制労働によって製造されていないことを確認する米国税関国境保護局(CBP)長官の質問に、完全かつ実質的に回答することである。第二に、強制労働により製造等されていないことを、明白で説得的な証拠により示すことである。CBPが推定を覆す決定をした場合は、報告書を議会に提出する義務があるため、反証のハードルは高い。

■ 日本企業にとっての留意点

今後、今年6月21日までに、同タスクフォースにより、輸入者へのガイダンスを含む執行戦略が策定され、同日に輸入禁止の推定の適用が開始される予定である。ガイダンスの公表から施行までの時間が限られる可能性が高いため、現段階で、自社のサプライチェーンを分析し、ウイグル産品の使用有無などを確認することが重要である。

執行戦略が策定された後は、ウイグル産品でないことや、強制労働により製造等されたものではないことなどの証拠として何が求められるのか、ガイダンスの内容を精査し、サプライチェーンのアセスメントを進める必要がある。

※ ウイグル強制労働防止法の執行状況をモニタリングするために、米国国内法に基づいて設置される。国土安全保障長官が議長となり、関連する他の政府機関の代表者によって構成される

【国際経済本部】

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