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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年4月7日 No.3540 家事支援税制の創設 -見直しが必要な社会制度の視点から/ダイバーシティ推進委員会企画部会

経団連は3月10日、ダイバーシティ推進委員会企画部会(工藤禎子部会長)をオンラインで開催した。ポピンズホールディングスの轟麻衣子社長、ならびに全国家事代行サービス協会会長でベアーズの高橋ゆき副社長が、「家事支援税制の創設~見直しが必要な社会制度の視点から」をテーマに講演した。講演の概要は次のとおり。

■ 働く女性を最高水準のエデュケアと介護サービスで支援
(ポピンズホールディングス)

轟氏

ポピンズホールディングスでは、最高水準のエデュケア(エデュ=エデュケーション〈教育〉とケア=保育を組み合わせた、1つ先を行く保育のあり方)と介護サービスで働く女性を支援し、働く女性のライフステージに応じたビジネスを展開している。

女性が働き続けるためには、人生を自ら設計でき、子どもに寄り添う育児ができる環境が求められる。2021年4月に、内閣府ベビーシッター券の1日当たりの利用可能額が2倍となり、利用枚数が3.5倍に増加した。需要の高い分野に対する政策が大きな成果を上げている。

人生を自分のタイミングで設計するには、画一的な施策ではなく、女性のライフステージに応じた選択肢を増やす取り組みが大切である。そのためには、(1)ベビーシッターや家事支援サービスの利用代金の一部税額控除により、育児、介護をしながら働く女性を支援すること(2)子どもの生活リズムに合わせた「預かり」を選択できるベビーシッターも、保育園等と同様に働く女性のインフラとしてとらえること(3)不妊治療の環境づくりに加え、「不妊予防」に関する事業を助成すること(4)女性活躍の阻害要因ともいえる「扶養控除」を撤廃すること――が求められる。

当社は35年前から「働く女性の支援」を掲げてきたが、女性の活躍推進と同時にサステイナブルな社会の実現を目指す。

■ コロナ禍で多様化する家事のニーズに対応した「暮らし方支援」
(ベアーズ)

高橋氏

コロナ禍で、暮らしの質を重視し、暮らしの支援を必要とする人が増加するなど家事代行のニーズが多様化している。また、働き手の仕事に対する価値観にも変化がみられ、企業では離職リスクが高まるなど、従業員の幸福度(ウェルビーイング)向上の必要に迫られる企業が増加している。

日本初の家事代行サービス会社であるベアーズでは、個人のライフスタイルや要望に合わせたサービスを提供し、日本社会に「利用者への新しい暮らし方」と「従事者としての日本の新しい雇用創造」を提唱している。

これまで「暮らし」とは、個人の責任との考え方が根強かった。しかし、今後は、国や企業が各家庭の「暮らし」を直接サポートすることが、社会機能の維持や働き手の確保、国民の働きがいや生きがい向上による国力維持を実現するうえで重要である。

その国民の暮らし方を支援することの一つとして、諸外国のように、育児や家事についてサポートを得るための支出について、就労のための経費ととらえた税制のあり方を検討していくべきである。具体的には、(1)家事支援税制と暮らし方改革制度の導入(2)従業員の「暮らし方支援」先進企業の表彰・取り組み周知(3)「家事支援外国人受け入れ事業」の全国措置・全国展開(4)家事支援人材の国家資格化――等の検討も必要である。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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